K-POPはなぜ金に貪欲なのか—韓国のポップスに浸ってみた(10)-(松沢呉一)
「ミン・ヒジンとNewJeansがもたらしたK-POP事務所の株価暴落—韓国のポップスに浸ってみた(9)」の続きです。
尹美香が懲りずにまた金集め
元慰安婦を利用して集めた募金を不正に流用したなどの容疑で、昨年、第二審で懲役1年6カ月・執行猶予3年の有罪判決を受けながら、控訴したことによって議員資格剥奪の執行を免れて、「共に民主党」を離れながらも、4年の議員任期を全うした尹美香が、新たに、亡くなった元慰安婦の遺言をネタに金集めを始めたとの「朝鮮日報」の記事には開いた口が塞がりませんでした。
せめて大法院(最高裁)の判決を静かに待つべきだろうと思うのですが、有罪が決定すると、ますます活動がやりにくくなるとの計算か。
尹美香が代表を務める「金福童の希望」という団体が韓神大学に「金福童平和センター」を開館する予定で、この資金を求めています。呼びかけから2日間で48人から162万ウォン(約18万円)が集まったと公表し、さらなる寄付を繰り返し呼びかけ、さらにこのプロジェクトを進める「金福童平和センター推進委員会」の委員になるよう勧めています。この団体も尹美香が代表であり、委員になるのは有料です。
尹美香としては、集まった金が不満だったのでしょうが、ここに至ってもなお金を出すのがいることの方が私には驚きです。ゼロでは格好がつかないので、見せ金的な嘘ではないかと疑わないではないですが、お仲間からかき集めればこのくらいにはなるか。
尹美香のおかげもあって、韓国国内でも慰安婦問題に疑問を抱く人が増え、国外でもドイツを筆頭に慰安婦像撤去の動きも激しくなってますが、これでメシを食ってきた人、募金に協力してきた人、政治的に利用してきた人たちは引っ込みがつかないでしょう。日本にもそういう人たちがいっぱいいそうです。
✴︎2024年10月4日付「朝鮮日報」日本語版
韓国音楽業界は再生可能か?
誤解を恐れずに言えば、尹美香とミン・ヒジンが私の中では重なるところがあります。ミン・ヒジンが詐欺めいた悪事をやっていると言いたいのではなく、徹底的に自身を被害者として、涙を流しながら訴える姿が、感情に流れる韓国の国民性(日本もそうですけどね)を見抜いていた上での演出に見える点です。見え透いていると言いますか。
当初はこの作戦がうまく言って、ミン・ヒジンへの同情が集まりましたが、現在はミン・ヒジンを批判する声も大きく、もっとも多いのはどうでもよくなった人たちでしょう。この対立も、K-POP自体も。
とくにNewJeansをコマとして使ったところから、私はミン・ヒジンをまったく信用ができなくなり、HYBEとの対立においては、姿が見えにくいHYBEに同情的になってますが、K-POPアイドル自体に興味がなく、紋切り型のアイドルではない韓国らしいポップスが出てきた方が楽しいと思う私からすると、アイドルの虚構を終わらせたかもしれないミン・ヒジンとNewJeansはこのまま暴走して欲しいとも願ってます。
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