大韓サッカー協会と文化体育観光部とK-POP—韓国のポップスに浸ってみた(11)-(松沢呉一)
「K-POPはなぜ金に貪欲なのか—韓国のポップスに浸ってみた(10)」の続きです。
FIFAのKFAへの警告と韓国民の反応
FIFAがKFA(大韓サッカー協会)に「政治介入を許した」として警告、その元凶が文化体育観光部です。日本で言えば、文化庁(文部科学省)、スポーツ庁(文部科学省)、観光庁(国土交通省)を合わせた行政組織です。
それが制裁に相当するのかどうか、私は自信を持っては判断できず。文化体育観光部が、ホン・ミョンボ韓国代表監督の選任過程が不透明であり、KFAルールに従っていないことを指摘して、「お前ら、ちゃんとやれ」と自立性を保つように促すに留めたのであればギリギリセーフとも言えますが、国会に招致し、かつ文化体育観光部はチョン・モンギュKFA会長の4選を否定してますから、これは政治介入でしょう。しかし、制裁すべきレベルのものかどうかは過去の例と照らさないとわからんです。
制裁に値するかどうかは置くとして、日本では「疑いのない介入」とする意見が多いのに対して、韓国は「介入ではない」とする意見の方が多い印象です。自国の肩を持ちたくなるのは理解できるとして、KFAに対する不信感がファンの間で高まっているため、政府が介入することを歓迎する空気があります。そうしない限り、解決しないと考えている。
その果てに、政府の圧力に抗するため、KFAがFIFAにチクったとの説も出ています。当たり前ですが、制裁は政府に対してなされるのではなく、KFAやその管理下にある代表チームに対してなされるのですから、これによって韓国代表が本戦出場を逃したら、会長が責任を取るしかなくなります。
そのくらいにKFAが悪者になった空気を踏まえて、尹錫悦大統領までが公に通達を出して人気取りをしたのでしょうが、決定的な証拠とされてしまいそう。
✴︎KFAのエンブレム。白虎らしいです。
韓国の依存性
他の事象でもまま見られることですが、韓国の国民は国家による介入、解決に抵抗が薄いように感じます。
「スポーツに政治権力は口を出すな」「文化は政治から距離を置くべし(政治をテーマにしてはならないのでなく)」という考え方を無理なく私は受け入れられますが、韓国では「我が国のスポーツが弱いのは国の支援が弱いからだ」との意見がよく出て来ます。次回、数字を確認しますが、韓国政府はスポーツや文化に手厚い援助をして。K-POPも国家のバックアップで成長したことは明らかです。
なのに、「もっと金出せ」と言ってしまうのは、スポーツや文化に限らず、何かにつけ政治のせい、現政権のせい、前政権のせいにすることにもつながっていそうです。これは今まで何度か指摘してきた韓国民の依存性の強さが背景にありそうです。「人の目を気にして周りに合わせる」「弱きを叩き、強きに媚びる」だけでなく、自分が気に入らないことはすべて強いもののせい。
必ずしもこれは悪いことばかりではないのですが、国際的には通じないことがわかっていないのが韓国の不幸です。
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