「アサシン クリード シャドウズ」のフィギュアが炎上→PURE ARTSは謝罪とともにやり直し—弥助の祟りを解く手本-(松沢呉一)
「フランスの国会議員がバルニエ首相にUBIソフトの救済を要請—関ヶ原鉄砲隊パクリ問題はなお気が抜けない」の続きです。
「弥助の祟り」はどこまでも
いろんなことが起きていますが、昨日の続きを済ませておきます。
UBIソフトに関わるともれなく炎上がついてくるので、「弥助の祟り」とも言われてますが、祟られたフィギュアは謝罪して手直しするとメーカーのPURE ARTSが発表
「私たちは最近、無神経なデザインをリリースしました。
私たちは、寄せられた懸念に感謝し、そこから学びました。そして、これによって傷つけたことを謝罪します。
フィードバックを読んで処理した後、私たちはすぐに設計図に戻り、現在 Qlectors のデザインをやり直しています
引き続きご注目ください。
満点。それどころか、私はPURE ARTSに同情しました。
パリ・オリンピック開会式で見られた宗教を嗤うフランスの芸風
弥助と奈緒江のフィギュアについて、PURE ARTSが謝罪とともにやり直しを明言したのは賢明でしたが、最初にこのフィギュアの写真を見て、「叩かれてもしょうがないけれど、ここまでのUBIソフトの不始末がなければ、こうも叩かれなかったろう」とも思いました。
「このフィギュアを欲しい人がどれだけいるのか」と思うのですが、そこは無視するとして、UBIソフトと無関係であれば、鳥居が破壊されていても、私はスルーしたと思います。とくにそれがフランスがらみであれば、「フランスだからな」と納得します。
パリ・オリンピックの開会式でも顕わになったように、フランスには宗教を馬鹿にする芸風があります。これまで繰り返してきたように、私は公的な教育の場に宗教を持ち込まないフランスのライシテを支持していて、宗教を馬鹿にしまくりの「シャルリー・エブド」も支持していますから、十字架でもコーランでも仏像でも鳥居でも破壊する表現に反対しません。実際の文化財、崇拝物の破壊は許されていいわけがないのは言うまでもなく。
フランス文化に詳しく、何度も渡仏している知人が言っていたのですが、フランス人知識層の宗教嫌悪は過剰で、ことあるごとに罵倒したり、嘲笑したりするそうで、宗教意識が薄い日本人でも辟易とするとのことです。あの開会式はまさにそれを体現したものとして理解はできますし、あの開会式に対して、フランス国内からはあまり批判がなかったこともあの国の空気を反映してましょう。
ただし、それを発表する場は選択すべきであって、宗教を笑う文化のない国も参加し、中立であるべきオリンピックに持ち込むべきではなかったと思います。
今から弥助を引っ込めたとしても、呪いは簡単には解けない
その点、フィギュアで宗教を冒涜したところで「買わなければいい」でおしまい。繰り返しになりますが、「アサシン クリード シャドウズ」も「史実に基づいている」「日本の歴史を学べる」なんて言わなければ、デタラメこいても、相当まで私は寛大。
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