香港と韓国の違い、「卵かけご飯」と「醤油卵ご飯」の違い—日本の卵が優秀なのは衛生管理の徹底だけではない[中編]-(松沢呉一)
「私にとっての卵かけご飯は貧乏飯—日本の卵が優秀なのは衛生管理の徹底だけではない[前編]」の続きです。
香港は日本から卵を輸入
香港でも低温殺菌の卵が流通しているようですが、卵の多くは香港以外の中国から入ってくるため、そう簡単には養鶏、流通の衛生管理を向上させることはできません。そこで、日本から卵を輸入し、通常の卵より高い金を出して卵かけご飯を食っているらしいですよ。
面白い発展をしています。日本の卵を使用し、オーナーが日本での経験から店を始めたことを隠していません。その上でオリジナルの工夫を加えていますから、こういうのはOK。インスパイア、あるいはリスペクトであって、パクリとは言われない。むしろ応援したくなります。
それができず、嘘で塗り固めるから、韓国のパクリは不快極まりないのです。盗癖と虚言癖がパックになっています。韓国が詐欺大国であることともつながっていましょう。
このままではまずいと感じている若い世代が少しは増えているようなので、彼らに期待したいですが、今のところはそういう国ですから、そろそろ「卵かけご飯は韓国が起源だ」と言い出しそうです。と思ったら、案の定でした。そこまで行き着いているわけではなく、その手前ですけどね。具体的には後ほど見ていきます。
ここまで、米国、カナダ、中国、香港、英国、イタリアおよびEU、そして日本の卵事情をざっとまとめました。どこの国も、「生卵は食べても安全か」といったフレーズで検索すると、上位に政府機関、食品衛生の団体や専門家のサイト、また、それらを踏まえた記事が並びます。似たようなものなので取り上げてないですが、インドもそうです。
おかげで、衛生管理が日本に近いヨーロッパを除いて、生や半熟で食べようとすれば、低温殺菌した高額な卵を新鮮なうちに食べるしかないことがわかって、コンビニで買った卵でも安心して食べられる日本の卵のありがたさもよくわかりました。それがわかったところで、私にとっては貧乏飯であることには違いないですが、卵かけご飯が日本を代表する料理のひとつとしてアピールされるのはもっともか。
日本は米も美味いですから、完璧なコンビネーションです。インディカ米がまずいわけではなく、インディカ米に合った料理もありますが、生卵には合わない。食べたことないけど。
✴︎香港食品安全センター作成による卵の扱いを指導したポスター
韓国の「醤油卵ご飯」
どこの国も「生卵は食べても安全か」で検索が容易だった中、ひとつだけ例外がありました、韓国です。私の知りたいこととはまるで関係のない頓珍漢な記事しか出てきませんでした。おそらく自動翻訳のせいだと思われます。語順が近く、似た言葉も多いんだから、どの言語より正確に翻訳されていいはずなのに、韓国語と日本語の間ではよくあることです。
そこで、韓国の卵の安全性を直接知ることは諦めて、遠回りして「卵かけご飯は安全か」で調べたら、こんな記事が出てきました。
——2021年10月3日付「信仰新聞」
日本の貧乏飯「卵かけご飯」(다마고카케고한)に該当する韓国の貧乏飯が「醤油卵ご飯」(간장계란밥)です。それがニューヨーク・タイムズの料理コーナーに登場したことを、「世界人の注目を集めるK-フード」として大袈裟に持ち上げた内容です。ここではInstagramを取り上げてますが、元の料理コーナーはこちら。
この料理コーナーは、ニューヨーク・タイムズの編集者やライターが持ち回りで書いていて、「醤油卵ご飯」を書いているエリック・キムさんは韓国系米人です。いわば身内を「世界人」に拡大するのが韓国流。
キムさんは料理のコラムニストで、173本も書いていて、創作っぽいものも多いため、どれが韓国料理か見極めが難しいですが、10本に1本はそれっぽい。
辛そうなチキンが多いのは韓国らしいと思ったのですが、料理名にShichimi Togarashi、Karaageとあったりします。
こっちの方がうまそう。
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