ニューヨークの公衆トイレの調査報告を読む—新人「炎上商人」登場![追記編1]-(松沢呉一)
「トイレと石鹸」シリーズ用に書きながら、本論から外れるために出さなかった内容や、後から調べた内容を「追記編」にまとめました。
石鹸が備えられたトイレが少しだけある町と、石鹸のないトイレがたくさんある町と、どちらがいいか
では質問です。石鹸が備えられたトイレが少しだけある町と、石鹸のない多くのトイレがある町と、どっちがいい?
意見は分かれましょうが、私は後者の方がいい。昼間は駅のトイレも使えますし、商業施設のトイレも使えますが、問題は深夜です。公衆トイレはわかりにくいところにあったりもしますが、スマホがあれば探せます。ニューヨーク市のように、東京都の3分1しかなければスマホで探しても、そこに行き着くまでにシッコやウンコを漏らしそうです。
東京なのに、私は2ヶ月ほど前にウンコを漏らしましたしね。公衆トイレまであと3分と言うところで限界に達し、以降はもうケツの穴を閉めようとしても閉まらず、ダダ漏れでした。あんなにウンコを漏らしたのは生まれて初めてです。ニューヨークだったら、もっと漏らしてます。
この違いは税収によるところが大きいのですが、それだけで決定しているわけではありません。調べてないですが、ニューヨーク市も税収は多いでしょうから、公衆トイレを設置できないはずはない。
住民が夜間にどういう行動をとるかにも左右されるのだろうと想像します。道路工事の人たちなど、仕事上、深夜に公衆トイレを利用するしかない人以外に、東京23区内の多くの場所では深夜でも歩いている人、ジョギングしている人、遊歩道や公園でダベっている人を見かけます。とくに花見のシーズンは深夜まで酒宴を開いている人たちがいます。そういう都市であれば、公衆トイレの需要が高くなります。
一方、ニューヨークは夜10特でも怖かったです。そんなところを歩くのが悪いのですが、人通りがないのに、暗がりには人が潜んでます。そんなところで公衆トイレには入れないので、必要性があっても、利用者が少ない。
このように治安のいい都市では公衆トイレは多くなり、治安の悪い場所では少なくなり、少ないトイレに金をかけられるので、石鹸も完備できるということになりそうです。
✴︎「Nature’s CallAn Assessment of NYC Park Restrooms」より、クイーンズの公衆トイレ(男子)。右端に見えるのはエアタオル。壁についているのは石鹸のディスペンサーと思われる。
石鹸をとるか、トイレ数をとるか
そのような推測のもと、ニューヨーク市の公衆トイレの石鹸状況を検索してみたら、本年7月に市議会が公園にある102の公衆トイレを調査した報告書が見つかりました。
この報告書は米国では大きな話題になってました。
調査の結果、9パーセントは閉鎖され(使用不可の便器のことかと思ったのですが、公衆トイレ全体のようです)、11パーセントは鍵が機能せず、40パーセントはゴミが散乱し、23パーセントは不衛生な状態で、19パーセントに落書きがあったとのこと。この「不衛生」は設備や備品の不備ではなく、糞尿が便座や床に飛び散っている、洗面台にゲロが吐かれているといったものを指します。
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