松沢呉一のビバノン・ライフ

法政大ハンマー事件の犯人はほぼ間違いなく頭が壊れていた—銭湯のおばちゃんがヒントをくれた-(松沢呉一)

 

法政大ハンマー事件

 

vivanon_sentence法政大多摩キャンパスのハンマー留学生の件は、すぐさま病んでいる人物の仕業だと判断しました。

「いじめがあった」「無視された」なんて供述と、犯行現場の映像とが合致しません。大学は小中高と違って、いじめが起きる場面は限られます。少人数の語学の授業やゼミ、あるいはサークル活動ならあり得るとして、多くの授業では学生同士の関係が薄いですから、名前も知らず、顔も怪しい。無視しない関係が存在しないのですから、無視すること自体が難しく、無視されても気づけない。

犯行のあったのは大教室です。そこで片っ端からハンマーで殴りかかったのですから、いじめた相手を狙ったとは思いにくい。実際に、被害者の学生、現場にいた学生の証言では、いじめが成立するような関係の学生はいなかったようです。

いじめられた鬱憤を「同じ大学の学生」「同じ国籍の日本人」に拡大させて晴らした可能性もありますが、その拡大自体に異常性が表れてましょう。中国でよくあるように、「失職したのは社会のせい」「給料の未払いはお前らのせい」に拡大して刃物を振り回したり、車で人を次々に轢いたりするのがその例。

こういった飛躍をする人物だと、多くの学生が経験する「授業に出ても、誰とも話をしていない」という日々を繰り返しているうちに、「私は無視されている」「いじめられている」と飛躍させそうです。

以前にも、さして関係のない学生や全く関係のない学生に対して、暴力性を発揮していることから、彼女が精神に異常を来していたことは間違いないでしょう。

 

 

 

精神のバランスを崩しやすい留学生

 

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どんな集団にもいるように、留学生の中にも精神に問題のある人物がいるわけですが、「とくに留学生には多い」とも言われます。日本人留学生でも鬱になって学校に行けなくなったり、問題行動を起こして退学処分になって、帰国するのは少なくありません。

留学するとなれば、程度の違いはあれども、期待に胸を膨らませるってものです。しかし、現実はそう甘くなく、その国の言葉もロクにできないので、授業についていけず、友だちもできない。バイトも探せないので、カツカツの生活で、遊びにもいけない。

こういう場合は、同じ国の出身者が集まるわけですが、日本人留学生が少ない大学だと、それも簡単ではありません。やっと見つけたと思ったら、相手はコミュニケーション能力が高く、学生生活を謳歌しており、自分の相手はをしてくれない。そりゃ、日本を出てから日本人とつるむのは避けたいってものでしょう。

また、同国人コミュニティで派閥ができ、排除が行われることもあります。法政大学に留学している韓国人YouTuber「じえの成長日記」を以前取り上げましたが、彼女は学校にもサークルにも馴染んでいて、バンド活動もやっており、韓国人の友だちもよく登場します。あんまり投稿してないですが、学生生活が忙しいからだろうと思います。しかし、彼女も精神的には不安定だった過去があって、それで最初の日本生活は失敗したんじゃなかったかな。

中には、生まれ育った場所でうまくいかず、「この場所が悪い、この国が悪い」と国全体を否定して、「よその国なら、私はもっと認められるはずだ」と思いこんで留学するのがいますから、失望は一層強まって、「本来は皆と仲良くなるはず」という仮想を基準にして、「私は仲間はずれにされている』と飛躍させるのもいそうです。

✴︎2025年1月11日付「文春オンライン」 学生たちは、いじめについての心当たりがなく、留学生グループを含め、特定のグループにも入っておらず、以前からおかしな行動や発言が見られたとのこと。

 

 

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