松沢呉一のビバノン・ライフ

幹部のオキニに手を出して飛ばされた男子アナ—渡邊渚インタビューを読む[後編]-(松沢呉一)

やっと私も語れることを思い出しました—渡邊渚インタビューを読む[前編]」の続きです。

 

 

恋愛禁止(?)の新人アナウンサー

 

vivanon_sentence私の記憶を蘇らせたのは「週刊現代」の「渡邊渚インタビュー」の「現場のスタッフから好かれることが大事だから、もし恋愛がバレたら、あなたを好んで起用していたおじさんたちが拗ねちゃうよ」の部分です。

 

 

アナウンサーは完璧であることが求められるのは事実ではあれ、私生活での恋愛までを禁じられるのは異常。フジテレビでは女子アナをアイドル同様に扱っていることの証左です。

ただし、彼女がこのまま言われたのかどうか、言われたとして社の方針かどうかは疑問があります。発言者が誰かも書かれていないですが、右も左もわからない新入社員にアナウンサーの心構えみたいなことを極端に飛躍させて冗談半分で言ったのではないかとも思います。渡邉渚さんは世間知らずの箱入り娘みたいたいな印象なので、そのまんま受け取りそうです。

真意としては「タレントに近い存在なので、男関係には気をつけろ」ということだったのではなかろうか。この教えであれば間違ってません。実際、入社前から付き合っている相手と結婚した女子アナもいて、「別れさせられた」なんて話は聞いたことがない。その程度にはアイドルとの間に一線があります。

その真偽はともかく、ここでのおじさんはもっぱらプロデューサーのことを指していましょうが、それとは別のおじさんが拗ねた実例を聞いたことがあることを思い出しました。

 

 

同局のアナウンサー同士の恋愛、結婚が稀な理由

 

vivanon_sentence御法度ということではないと思いますが、同じ局のアナウンサー同士の恋愛や結婚は聞かない。別の局のアナウンサー同士が結婚したケースはあったかと思いますが、すぐ近くで見ていると恋愛感情は生じにくい以上にそういう関係になりにくいのです。

前にも書いたように、アナウンス室はギスギスした空気に満ちていて、男女でも時に座を奪い合うライバルであり、同じ番組に出ても、「あいつは台本にないことを言うのでやりにくい」「どうしてあいつの方が目立つんだよ」といった不満も生じやすい。

また、タレントやスポーツ選手、起業家らとの飲み会に嬉々として出掛けていくタイプの女子アナたちが、そこで出会った男について情報を交換する様子を見れば男子アナはうんざりしましょう。

多くの企業では、同じ部署内で恋愛関係、肉体関係が生じると、どちらか、あるいはどちらも異動になることが多いものです。その関係が仕事に反映されることを避けるためですし、他の社員が気を使うようなことも起きます。

 

 

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