批判しているのはレイシストと決めつけたUBIソフトやIGNを忘れまい—「Yasuke Simulator」発売を前に付録の「アサシン クリード シャドウズ」を振り返る-(松沢呉一)
2024年5月、「アサシン クリード シャドウズ」炎上
「Yasuke Simulator」の付録である「アサシン クリード シャドウズ」の舞台は日本であるとUBIソフトが発表したのは2023年7月のこと。当初はひたすら歓迎されていたのですが、追って黒人の弥助が主人公であることがわかってきて、幾分の当惑はありつつも、なお期待する空気が支配していました。
この空気が批判的な空気に転じたのは2024年5月だったと思います。ヴィジュアルが公開され、史実に基づいているはずの「アサシン クリード シャドウズ」で、ほとんど記録のない弥助が甲冑をつけた武士として日本人をバッタバッタと斬っていく。その上、季節の設定がデタラメ。風景、建物、装飾のすべてにおいておかしな点が次々と発見され、ついには炎上。
この流れで私も知ることになります。もう30年くらいゲームをやってない私のところにゲーマーのチャンネルが表示され、新作ゲームのCMがよく出るのは、VTuberの影響です。好きなVTuberだと、ゲーム中継も観ます。ゲームが好きなんじゃなくて、VTuberが好きなのですが、コンピュータもそこまではわからんわな。
おかげでだいたいのことを理解できましたが、買う予定のない私がしゃしゃり出るのはためらわれて、しばらく眺めていました。しかし、フィクシュンがノンフィクションとして扱われ、教科書(副読本だったかな)にまで採用された例、フィクションとしながら実際にあったことであるかのように売り出したことによって、そう信じてしまった読者が多数いた例をこれまで何度も取り上げてきた私としては、これもそうなりかねない感触があったため、危機感を抱いて参入。
トーマス・ロックリーの主張はすでに国外に広まって、その内容をなぞる複数の本が出されており、虚言者の妄想はすでに史実扱いされ、演劇などの二次創作も始まっていることを知ります。「アサシン クリード シャドウズ」を放置すると、この流れが固定され、さらに拡大するのは必至です。なんとか阻止せねば。
✴︎ゲームをするなら、「Yasuke Simulator」です。お間違えのないように。「アサシン クリード シャドウズ」での提灯の使い方はおかしいですが、こっちは問題なし。何をやっても問題なし。
メーカーの広報誌、IGN
5月末、このことを「ビバノン」に書き出して驚いたのは、えれえアクセスが多かったことです。ゲームをやっている人はどこにでもいますから、「ビバノン」の読者にもいるでしょうが、とくに多いとは思えません。ゲームだけじゃなく、アニメやVTuberについて書いてもアクアセスは伸びません。オタク的なものは受けないのです。
なのに、「アサシン クリード シャドウズ」が抜きん出てアクセスが多かったのは、ゲームクラスターの中では情報が行き渡り、クラスターの外に情報が漏れ出したタイミングだったためだろうと思います。なんとなくよからぬことが起きていることはわかっていても、何が起きているのかまではわからない状態。ゲーマーたちの中でも、ゲームクラスター外でこれを取り上げる人が少ないことへの不満が高まっていたというのもあるかもしれない。
以降、とくに私がブチ切れたのはIGNでした。IGNの編集者であるマット・キムの文章は、ちょうど中国人や韓国人が日本人に偽装して日本人を貶める癖について書いていたので、「ここにもいたか」と思いました。この文章では、日本で指摘されている問題点を完全に無視することでUBIソフトに媚びる役割を果たしてました。
IGN Japanも同じく媚びまくりで、批判するのは黒人に対する差別との見方を最初に提示したのはIGN Japanでしょう。白人が黒人を召使として操って、日本に対する蔑視、軽視をああまで露骨に表現しているのに、それを指摘すると、今度は「お前らは差別者だ」と言い始める。
これ以降、UBIソフトとその擁護者はこの論を使って対抗してきます。「批判しているのは白人の差別者であり。日本人を偽装している」といった主張です。この程度しか言えることがないのですから、この勝負はついています。
今の時代、こんな嘘はすぐにバレます。そう考えていたのですが、これ以降も、延々とこの論は繰り返されました。
✴︎2025年2月19日付「IGN Japan」 UBIソフトの言い分を垂れ流すIGN Japanの記事。「予約数は好調」という株主への説明は見え透いたごまかしで、株主たちから訴訟を起こされるのではないかとも言われているのにさ。
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