松沢呉一のビバノン・ライフ

最上あいは配信者であると同時にフリーのキャバ嬢だった—3月19日の「月刊 生き違い新聞」で話す予定のテーマ-(松沢呉一)-(無料記事)

 

殺害現場に供えられた多数の花と飲み物

 

vivanon_sentence

最上あい殺人事件はいろんな意味でエグいっす。その分、興味を掻き立てられるわけですが、ずっとこのことを考えていて、次回の「月刊 生き違い新聞」で話すネタを思いつきました。

 

気になりすぎるので、とりあえず、現場に行ってみました。

もしかすっと、最上あいのファンたちが集っているんじゃないかとも思ったのですが、当日やその翌日ならともかく、さすがに時間が経っているし、夜だったので、誰もいませんでした。血糊も残っていませんでした。

でも、蕎麦屋の脇には大量の花や飲み物が置かれていて、思わず私は手を合わせました。3割くらいは最上あいのため、残りはファンのためです。

花や飲み物には近隣の人たちによるものも混じっているでしょうが、彼女の写真らしきものが貼り付けた何かもあって、大半は彼女のファンによるものでしょう(その「何か」は彼女が販売したグッズかとも思うのですが、手に取るのはためらわれて、確認できませんでした)。

推しが亡くなっただけでもショックでしょうし、死に方がまた衝撃的すぎます。さらに、彼女の悪魔の一面が明らかにされて、知らなかった人たちは耳を塞ぎたいでしょう。それでも楽しい時間を過ごさせてくれた彼女に最後の挨拶をしないではいられなかったファンの想いがそこにはありました。

そこを離れたところから、腰がまた痛くなってきて、なんか拾ってきたかも。最上あいの話を聞いてくれそうな人物はいっぱいあの場に来ていたでしょうから、車に轢かれた猫の浮遊霊かもしれない。

 

 

フリーのキャバ嬢が成立する時代

 

vivanon_sentence

車に轢かれた猫の話をしたいのでなく、「話さなきゃ」と思ったのは、最上あいが水商売をやっていたことです。当初はガールズバーで働いていたと言われていたのですが、正確には、彼女はイベントとして、キャバクラやガールズバーに出ていたようです。

「あー、例のアレか」とわかりました。ここ数年、フリーのキャバクラ嬢、ガールズバー嬢、コンカフェ嬢が登場していて(同じ人物がいろんな店に出没していたりもする)、私は大いに注目しておりました。

最上あいのように、同接が3桁に達する配信者であれば、イベントに30人くらい呼べます。30人が来てくれれば、30万円ほど持って帰れます。多数の太い客をつかんでいれば、その倍も可能。

イベントでこれだけの収入になるのはシャンパンが大きくて、オリジナルのラベルがついたシャンパンが欲しくて、客は2万3万と出します。店によって条件は違いますが、通常の料金は店の取り分で、持ち込みのシャンパンはゲストの取り分になっていることが多いので、全額持って帰れます。

この様子も配信し、店に来られない人からのスパチャも入ってきますし、後送でシャンパンを頼むリスナーもいます。配信者としての力がなければ無理ですが、最上あいクラスが月に1回か2回イベントをやっていけば、それだけで食っていくことが可能。なのに、借りた金を返さないのはまずかったですね。

つうことで、次回の「月刊 生き違い新聞」では、オリジナル・ラベルのシャンパンの現物を見せながら、「原価はいくらくらいか」「フリーのメリット、デメリット」なんてことを語ろうと思います。

 

 

前の記事 »

ページ先頭へ