成熟する前に崩壊した韓国の民主主義—尹錫悦大統領罷免はやむを得ないとも思うのだけれど-(松沢呉一)
改めて李在明無罪はおかしい
先日の李在明被告への無罪判決で予想はできてましたが、一昨日、憲法裁判所が全員一致でを妥当と判断。この判断は私には十分に是非を判断できないところがあって、ざっくり言えば大統領権限の範囲でありつつ、その要件を満たしていないと言われればそうかもなって思えます。
だから、この闘いは、尹錫悦の裁判より、李在明の裁判で決着するしかなく、無理のある李在明無罪という判決で、またまた韓国の裁判所はやらかしたなと思いました。韓国でも、「罷免はいいとしても、李在明無罪は納得できない」と考える人が相当に多い印象です。
それでも一縷の希望はありました。韓国の政治が機能しなくなり、当然の結果として経済も停滞し、株価は低迷、ウォンは下落し、韓国企業の国外流出も続いています。
「信頼度はボチボチでしかなくても、値段が安い」ってことで売り上げを伸ばしてきた韓国製品は、各分野で中国に食われています。調子がよかったうちに品質を向上させることで信頼を得て、独自性を打ち出して交換不可能な製品を確立できればよかったのですが、ことごとく失敗し、自慢の半導体分野では台湾に抜かれました。
トランプ政権の「相互関税」で各国戦々恐々としており、日本も大きな影響を受けそうですが、こんな時に反日モンスターが大統領になったら韓国にとっては命取り。
文在寅政権下での日本製品不買運動や徴用工問題を契機に相次いで日本企業が韓国から撤退し、銀行が債権の回収を進めたことも韓国経済を弱体化させたことから、経済界は反日気運を諌めるようになっていました。李在明政権になったら、日韓の関係はさらに冷え込み、経済は一層苦境に立たされますから、財界は水面下で弾劾棄却の方向で動いているのではないかと推測していたのですが、無駄な期待でした。
K-POPやウェブトゥーン、野球、サッカーなどの文化やスポーツでも凋落が続いていて、金が尽きればこれらはどん底に落ちていくしかなく、頼みの綱は山下真・奈良県知事くらい(笑)。結局、奈良県は予算を大幅に削ってK-POPフェスをやるようですが、両国の対等な友好であることを示すため、韓国でもJ-POPフェスをやるよう要請すれば印象は変わるのに、なんでそうしないかな。
✴︎2025年1月31日付「日本経済新聞」 取り上げなきゃと思いつつ、出すタイミングがなかったので、今回無理やり入れ込んでみました。
韓国の司法もメディアも信用できなくなった
国会を支配した共に民主党は国政を麻痺させることに注力してきましたから、政治的空白が続いていて、これを打開すべく尹錫悦大統領は戒厳令を宣布。この抵抗は失敗に終わりました、この過程がなくても、いずれ李在明政権は成立していたでしょうけど、その前に李在明は収監されていた可能性も高買ったですから、結果から見えれば尹錫悦は焦りすぎましたかね。
しかし、「韓国で何が起きているのか」や、李在明は犯罪人であり、どんな薄汚れた手を使ってでも裁判を回避し、権力を得ようとする人物であることを知らしめた意義はあるでしょう。
その意義については、ジェホがまとめています。
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