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愛知県高校野球 2年生の有望選手特集⑨ 菊里 土屋諒太投手 “公立進学校左腕三羽烏のMAX139km/h左腕。ロボット工学とバイオリンとの三刀流をこなす異能投手”

今回は公立進学校左腕三羽烏と名付けられた投手の中で、最後の登場となる菊里高校土屋諒太(ケイタ)投手の特集です。(高蔵寺・芹澤投手向陽・軍司投手の特集はリンクから)

土屋投手を初めて見たのは彼が1年生の秋の瑞陵戦でした。この試合ではリリーフでマウンドへ上がり、アウト7つのうち6つを三振で奪う快投。そのまっすぐの切れと恵まれた体格に目を奪われます。

その彼が大きく名を上げたのが2024年の夏の初戦、清林館戦でした。
この試合では先発して三振の山を築いていきます。2失点完投勝利を挙げ、奪三振数は実に19個。圧巻のパフォーマンスで現地やバーチャル高校野球で見ていたファンをアッと言わせます。

連戦となった2回戦の成章戦では6点ビハインドとなってからマウンドへ上がり、2回2/3を3奪三振。2年生の夏としては十分すぎるポテンシャルをみせての敗戦でした。

8月の向陽戦でMAX139km/hをマーク

飛躍を期待された2年生の秋は初戦の富田戦で勝利をおさめるも、その後連敗をして地区1次予選敗退。県大会に進んだ高蔵寺の芹澤大地、向陽の軍司拓海と比べ、秋は鳴りを潜める形となりました。
知名度では一歩及ばないものの、ポテンシャルそのものは2人に勝るとも劣らないと筆者は評価している。
一番の武器はそのバランスのいい体格。179㎝ 82㎏となっており、強豪私学の投手にも体格負けはない。
MAXは139km/h。ラプソードで計測したことがあるとのことで、その時の回転数はプロ並みの2200回転を超えたとか。本人も自信があるボールにまっすぐを挙げる。

そんな土屋投手に今回取材を行いましたが、野球以外にも幼少期から色々な才能があることが発覚。野球、ロボット工学、バイオリンに秀でた「三刀流」の実態に迫ります。

まずは野球から。

野球を始めたのは幼稚園の頃。高校野球をやっていた祖父の影響から。ただ、小学生の時はチームには所属をせず、野球教室等で野球をやる程度。本格的にチームで野球をやるようになったのは中学生となり千種台中の野球部に入ってからだった。

中学校の野球部は軟式。チームの状況を聞くと「同期は7人。クラブチームで野球をやっていたのは1人だけで、あとは自分と同じで野球教室等でやっていたくらいの選手が多かった」。
今の中学校の野球部の事情というのはどこも同じような感じと菊里高校・竹内力哉監督の談。
土屋選手のポジションはピッチャー。ピッチャーをやらないときは外野手。千種台中での実績は名古屋市大会でのベスト8が最高だった。

当時から身体も比較的大きく、ボールに力があったため、中学校の部活レベルではほとんど打たれなかったとか。「中学3年の夏で125km/hくらいは出ていた。中学2年の秋くらいからは、ひょっとして自分はいい投手かもと思っていた」と自信を持っていた様子。

そんな中、高校選択では菊里高校を選ぶ。「野球中心ではなく、自分のやりたい勉強と両立できる高校。その中で楽しい雰囲気で野球はやれたらいいな」という理由からだった。

三刀流の2本目の刀が“ロボット工学の研究”。

小学4年生の時に出会い、今も外部の専門的に勉強出来るところへ通って大会にも出ている。大学もその研究が出来るところに進学したいという希望を持つ。ロボット工学の魅力については「1から作っていって、自分の考えた通りに動かした時の達成感がすごい」と目を輝かせる。

三刀流の3本目の刀は“バイオリン”。

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