勝ち継投のポジションを掴むまで。「力を出しきれなかったという試合がないように」。西武7年目・田村伊知郎に見る、リリーバーたちの生き残りを懸けた戦い。
その階段は、ある種、ストーリーのようなものだ。
顔見せのような登板から、敗戦処理を中心に出場機会を得ていく。そこで信頼を勝ち取り、やがて役割が重くなっていく。結果を残せば残すほどに期待値は高まり、勝ち継投を任されるようになる。当然、それによって、マウンドでの気持ちも変化していくが、出場機会をただ与えられているだけではない試合での登板は選手の価値、そのものだ。
「常に100%を出すつもりでいます。それはどんな試合展開であっても。力を出しきれなかったということがないように、準備の段階から意識していますね」
昨季までの成績は78試合に登板、防御率4.25。昨季は1軍3試合登板のみ。6年間、変わり映えのしない投球はいつ解雇になっても不思議ではないほどだったが、その田村伊知郎が今季18試合に登板、防御率1点台と奮闘している。9月5日には2年ぶりの勝利をあげ、1ホールドもマーク。17日のロッテ戦では、ついに勝ち継投に抜擢され、1イニングを無失点に抑えて勝利に貢献した。
「まだ勝ち試合の登板は数試合なんで、できているとまでは言えませんけど」
田村はそう謙遜するが、彼が昇る階段は彼の野球人生を少しずつ上に向かわせていることは間違いないだろう。
実はこれは田村に限ったことではなく、リリーバーには、一口では語れないストーリーがあるのだ。
そもそも、田村のような立場の投手は日本の野球界にゴマンといる。
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