限界突パ

【検証2024 西武 最終話】渡辺久信が遺したものとこれから。激動の1年から西武が目指す”野球指導環境”の再構築

パ・リーグ最下位に終わった西武。シーズン中の監督休養、GMの兼任、緊急トレードなど後ろ向きなニュースばかりだった2024年。シーズン100敗は免れたものの、西武の歴史の中でも記憶に残るシーズンだったのは間違いない。それでもスタジアムを埋め尽くした観客、最後の最後までチームを見守ったメディアなど、まだチームに対する期待があると言える。「こんな成績でも期待してくれているのかなと。だから、来年は喜んでもらいたい」と語ったのはキャプテンの源田壮亮だ。しかし、シーズンを振り返らないことには未来はない。なぜ、優勝を目指していたチームはこれほどに低迷したのだろうか。その検証をお送りする。最終回は「渡辺久信が遺したものとライオンズのこれから」

西武の最終戦が終わった後、球団広報から1通のショートメールが届いた。
最終戦がビジターだったため、取材に来れない記者に向けて、監督代行を務めた渡辺久信GMの囲み取材の音声が添付されていた。渡辺GM最後の想いを届けて欲しい、そんな思惑だったと解釈している。

松井稼頭央監督の休養から4ヶ月、チームの先頭に立った渡辺久信は早々に最下位が確定したチームに何を遺したのだろう。

松井監督との1番の違いは発信力である。もちろん、松井監督が取材拒否をしたりすることなどはなかったが、取材者の意図を汲むことや、記者の後ろにいる西武ファンや野球ファンを見て話しているかという視点でいくと、明らかな違いがあった。

「前回監督をやってるときも6年間取材拒否したってことは多分ないんじゃないかな。私からメッセージを出すというのはすごく大事なこと」

そう話す渡辺久信氏は、きつい言葉を掛けるのを避けることが今の指導のあり方のように言われることもあるが、監督が口にすることによって、良し悪しが整理されるところはある。
エラーをした選手をすぐに変えたりする厳しさもあれば、その選手を翌日のスタメンに入れる優しさも両面併せ持つ。日々の試合の中で、選手自身に物語を作っている。そんなイメージさえあった。

シーズン終盤に打球を受けて怪我をするまでローテを守った渡邉勇太朗がこんな話をしている。

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