ピンチはチャンス! 「走姿顕心」で掴む夏の勝利━━大分南(後編)
2年ぶりの夏勝利を目指す大分南だが、今春は大分西に初戦敗退。2点をリードした9回に4点を失い、逃げ切ることができなかった。安部泰昭監督も「気の緩みや勝ちに対する甘さがあった」と反省する。
続く5月の大分県選手権も、大分市内予選で敗退し本大会出場を逃した。とくに大会序盤はベンチの雰囲気が重く、ビハインドの状況から盛り返す気力も感じられない。このままでは夏を戦えないと判断した安部監督は、すでに本大会出場が絶望的となった予選リーグ最終戦を前に、ついに手を打った。
亡き恩師から継承した「前向きに戦う姿勢」
「彼らに『戦い方を変えてみようよ。技術的なものは何も変わらないかもしれないけど、最後まであきらめない姿勢を作っていこう』と言って、最終戦までの1週間は私も“だんまり”を決め込みました」
この間、チームは主将の和哥山廉翔(3年)を中心に声を掛け合うようになり、試合も鶴崎工に3-2でサヨナラ勝ちを収めることができた。相手はのちの本大会で明豊、大分舞鶴を立て続けに破り、県の頂点に立った難敵だ。
この試合が、チームにとっては大きなターニングポイントとなった。たとえ負けていても「最後まで諦めずに戦おう!」という声がベンチで飛び交うようになり、自分たちが目指すべき野球の形も固まってきたと安部監督は言う。練習試合では先に7点を失っても、その後に粘って7-7のドローに持ち込むこともあったし、逆に初回に大量8点を取っても「この逆もあるから、休まずに攻め続けよう」といった声が出るようにもなった。
「ピンチはチャンスだ。常に前向きに」
安部監督が福岡高時代に恩師の故・中村昌樹監督から授かった姿勢が、そのまま大分南ナインに継承されたのだと言っていい。「反省は後でいいから、切り替えていこう」と声を掛け合う選手たちの姿に、安部監督も手応えを掴み始めている。
グラウンドを全力疾走する姿は、人の心を顕す
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