ファーストミーティング① 俺たちは「和」をもって強くなる━━竹田(後編)
創立127年を迎えた歴史のある学校にとっても、人口約1万8000人の小さな町にとっても、甲子園出場はいまだ見ぬ夢。
まずは聖地へのチケットを射程圏に入れるべく、地元で行われる秋の九州大会出場に向けてスタートを切った竹田。
赴任2年目の藤澤賢二監督によるファーストミーティングには、チーム結束のためのキーワードがふんだんに盛り込まれていた。
継続は人間を変える力になる
「お前たちの中に“竹田高校はそんなにエリートチームではないから、勝てなくてもいいんだ”という考えがあるとしたら、それは違うぞ。俺たちでもやれることを一生懸命やったら、いつでも強豪チームに立ち向かっていけるし、勝つチャンスも生まれてくるんだ。それを絶対に忘れてはいけない。ファインプレーじゃなくていい。当たり前のことをどれだけ積み重ねていけるかなんだよ。きちんと進塁打を打てるようになった。バントが完璧にできるようになった。ピッチャーが打ち取った打球は、100%に近い確率で処理できるようになった。そういう当たり前のことをできるようになろう」
「短い時間でもいいから、継続してやれる何かを見つけてほしい。大それたことをする必要はない。大それたことでも2、3日で終わって満足するぐらいなら、まったく意味がないからな。だから、何かひとつの目標を決めて継続的に取り組むこと。なんでも1年間続けることができたら、間違いなく変わるぞ。だから、自分が苦手なことから逃げるのは絶対にダメだ。たとえ成績が良くなくても、勉強には一生懸命になって取り組め」
表裏を使い分ける人間にはなるな
「表と裏を使い分けるな。大人はちゃんと見ているからな。俺の前では調子の良いことを言っているけど、他の先生やクラスメイトの前では野球部の先生たちには見せられないような言動を繰り広げている。お前たちは気づいていないかもしれないが、そういうことはすべてお見通しだからな。そうやって表裏を使い分けていたら、人間的評価を失うぞ。信頼されなくなるぞ。怖い先生の前では従順だけど、相手を見て態度も喋り方を変える。タメ口で失礼なことを言う。優しい先生の前では、一日中寝ている。そういう奴が人間的に認められるわけがない。とにかく学校の先生たちは見ているからな」
「見て見ぬふりをしたり、自分に好都合になることを誰かに告げ口しに行く者は、何の批判もされずに生活できるかもしれない。でも、そういう人間はいつまで経っても変わらないぞ。社会に出ても同じままだし、本性を見透かされているからな。そして、組織の中でもどんどん孤立してしまうぞ。そろそろ大人になれ。誰かに気に入られるために、誰かに怒られないために生きているんじゃない。自分のために生きているんだ。自分の人間性を考えた時に“俺はちゃんと正しい道で頑張れている”と思えるような人間になれ。それこそがお前たちが野球をやっている意味だと俺は思う。野球というスポーツには、ルールがある。不正は認められない。だから、苦労するんだ。お前たちが上手くいかなくなったり、悩んだりした時にお手伝いをするのが俺たちの仕事。お前たちが成長するために、俺たち指導者がいることを忘れないでほしい。俺たちは少しでもお前たちの後押しがしたい。だからお前たちは、成長という流れにしっかり乗ってほしい」
一生付き合っていく仲間のために
(残り 2920文字/全文: 4295文字)
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