ファーストミーティング② 少人数チームだからこそ━━阿蘇中央(前編)
部員21名、選手19名で臨んだ今夏は、千原台に0-7で初戦コールド敗退。
2020年夏の独自大会を除けば、春夏秋の3大公式戦で挙げた白星も2019年春が最後だ。
毎年のように部員不足に頭を抱えるチームは、阿蘇の雄大な自然の中で新チームのスタートを切った。
現在の選手は2学年で14名。例年に比べて“大所帯”の部員を抱えたことで、赴任4年目を迎えた德永寛毅監督は新たな試みに着手した。
まずは選手へのファーストミーティングを控えた德永監督に、チームづくりについての話を聞く。
━━德永監督が理想とする野球から教えてください。
「積極的な走塁で得点機を作っていく野球ですね。あらゆるプレーの中でスランプがないと言われるのが走塁ですから、足を絡めた試合をしたいと思います。また、そういうチームが相手のスキを衝いて強いチームに勝った試合を、私も間近に見てきました。熊本でいえば文徳、必由館や済々黌が甲子園に行った時がそうでした。昨年春の九州大会で有明が優勝した時もそうでしたよね。一気に乗っていくためにも機動力野球は理想であり、大いに魅力を感じています」
━━阿蘇中央のような少人数校を率いる場合、どうしても機動力野球を求めてしまうという事情もあるのでしょうか?
「たしかに郡部の学校だと、力のある選手がいる代もあれば、そうではない年もあります。それに130㌔台後半を投げるピッチャーや、ホームランを打てる子が毎年来てくれるわけでもありません。だったら機動力を使った方が勝つ可能性は上がるだろうという考えがあるのは事実です。ただ、私自身が機動力に勝機を見出すようになったのは、高校時代なんですよ。1年秋、済々黌に負けた練習試合がきっかけでした。済々黌の選手は体も小さいのに、とにかく強かったです。試合では、これでもかと言うぐらいに走られまくりました。その済々黌が熊本工を倒して甲子園に行ったものですから、少なからず影響を受けましたね」