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ファーストミーティング② 三冠王・村上宗隆の恩師に言われた「お前のチームが一番嫌だ」の真相━━阿蘇中央(後編)

地区4強に進出した2020年の独自大会を除けば、2018年を最後に夏の勝利がない阿蘇中央。
過去10年を振り返ってみても夏の初戦突破は2度しかなく、春秋を通算しても公式戦での勝利は4勝のみ。
それでもナインは、生徒数激減に苦しむ地域の“野球の灯”を消すまいと、今年も元気に新チームをスタートさせた。
秋の城北大会での勝利、そして秋の1勝に向けて。選手たちに対する、德永寛毅監督によるファーストミーティングに潜入した。

自分たちの弱さを知ることから始めよう

「夏の大会で、先輩たちは残念ながら負けてしまった。でも、俺が阿蘇中央に来て4年目になるけど、一番自信を持って臨んだ夏だった。とくに5月の連休(中九州ベースボールウイーク)以降は、勝ちか勝ちに相当するゲームばかりできた。今年の夏は相手が千原台だったけど、自分たちの力さえ出しきれば充分に勝てるという状態で臨めたと思う。でも、残念ながら力を発揮することはできなかった。夏の大会で持っている力を発揮しようと思ったら、やはり日々の練習での意識付けが大事になってくるよ。俺が見ていない時でも、緊張感を持ってやり続けていかないといけない。夏の試合中に“これが最後だ”と思えば、誰しも緊張するものだ。そんな極限の状態で、自分がやってきたことを精一杯やろうと思ってできるかどうか。最後の夏になってそれをやろうと思っても、なかなかできることではないから、日ごろから自分たちで緊張感を作り出していかないとダメだ」

「当たり前のことだけど、練習のための練習ではなく、公式戦に繋がる練習をしてほしい。自分たちでも分かっていると思うけど、お前たちは先輩に比べて伸びしろだらけなんだぞ。ただ、伸びしろだらけと言うことは、裏を返せばまだまだ下手くそだということにもなるよね。今のままなら、公式戦で1勝もできずに終わるかもしれんね。だから、自分たちの弱さを自覚することから始めようよ。では、勝つために何をしなきゃいけないのか。最低限、まずは与えられたことを一生懸命やること。夏の大会にはしばらく勝てていないんだから、何かを変えなきゃいけない。だったら、ウォーミングアップを変えよう。アップメニューを増やしていこう。夏の千原台戦では、相手のアップの状況を横で見ながら雰囲気に飲まれていったのではないかと感じている。俺はみんなが“相手は相手、自分たちは自分たち”と思ってくれると信じていた。そう思い込んでしまっていた俺自身も反省している。ただ、体力的にももう少し強化しなきゃということもあって『いろんなアップメニューを調べてくれ、考えてくれ』と言ったら、さっそく5個も増やしてくれたんだよな。そういう行動のスピード感は、絶対に試合にも活きてくるからね」

村上宗隆の恩師も恐れた「当たり前ができるチーム」

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