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【編集部コラム】無観客 収入源をどう確保?

高校野球代替大会の開幕が18日に迫りました。なかなか明けない梅雨、さらに多くの学校でテスト期間も重なり、例年のような追い込みができていないように感じます。

部員数の多い私立校では、3生だけで大会に臨むチームがいくつかあります。いつもならこの時期、レギュラー中心に練習試合を行い、実戦の精度を上げていくところですが、多くの選手を起用しながら、見極めが続いている段階のように見えます。また、公立校でも比較的部員がいるチームの中には、3年生の出場機会に配慮しながらの起用を考えていることも聞きます。

限定的に保護者が入場できても原則は無観客となる代替大会。いつもと同じ夏を期待するのではなく、特別な夏として受け入れる気持ちでいた方がいいように思います。

さて、東京を中心に新型コロナウイルスの感染者が一気に増加してきましたが、何とか代替大会は最後まで無事に行えるといいのですが…。

その代替大会の開催に当たり、コロナ対策が大きな課題だったのはもちろんですが、「運営資金」の確保もネックになっていました。大会を開くための「お金がない」というのは、正直驚きました。

高野連の運営資金の多くが、公式戦の入場料収入によるものです。天候や対戦カードによって入場者数は左右されますが、部員数と同じく減少の流れにありました。

一方で、選手の健康安全確保のため看護士や理学療法士を各会場に配置するなど、経費は増えていました。

そこで今年から一般の入場料が500円から700円に値上げされることになっていました。「ワンコイン」だったのが、値上げで客足が遠のくリスクもありましたが、一定の増収を見込んで変更されたわけです。

しかし春の大会は中止。そして夏も無観客となり、大きな入場料収入が0になってしまいました。

甲子園では外野席を有料にし、日本高野連などは入場料収入の一部を甲子園200年構想に充て、各都道府県に分配するなど「景気のいい」事業を始めています。しかし地方の高野連の財務状況は、意外と脆弱なんだと考えさせられました。

それでも今回は日本高野連から助成があったり、プロ野球選手会からも寄付があったりしました。さらに長野県高校野球OB・OG連盟からはいち早く多くの寄付が贈られました。県高野連も独自のクラウドファンディングで資金集めを始めています。

今年も県内の野球部員は100人以上減少しました。そのペースは緩やかになるかもしれませんが、小中学生の動向からも減少傾向が続くことが予想されます。そうなると単純に球場で観戦する保護者の数も減ります。

また、詳しいデータがあるわけではありませんが、入場者の柱になっているが、高校野球ファンです。出身校問わず、ネット裏に陣取る、熱心な方がいらっしゃいますよね。ただ、そうした皆さんの高齢化も気になります。

そしてバーチャル高校野球の定着で、暑い夏の観戦を避け、涼しい部屋でネット観戦する人が増えても不思議ではありません。

こう考えても、今後、入場者は減る前提で、着実な資金源を確保していかないといけないと思います。

これまで高校野球と商業主義は、学生憲章から御法度扱いされてきました。ただ、この時世、ちょっと過度では、と感じるところもあります。

秋季大会、さらに来シーズン以降、有観客になるかも見えません。「お金がないので」と毎回、寄付を募るわけにもいかないので、これを機に日本高野連としてもスポンサー確保などいろいろな収入の方策や制限緩和を考えてほしいものです。

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