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【高校】初のセンバツ有力の上田西、進路指導と生徒募集で好結果

1月29日に発表されるセンバツ甲子園出場が有力視されている上田西。昨秋はドラフト会議で3年生の髙寺望夢が阪神から指名された。さらに同期のエース阿部巧雅は、法政大への進学が決まった。同校野球部から法大を含む東京六大学(硬式)に進むのは初めてという。

またOBの活躍も鮮烈だった。昨年11月の都市対抗でセガサミー(東京)4年目の草海光貴(22)がエース格の働きで4強入りに貢献した。

生徒募集から進路指導のチーム方針がうまくかみ合ったとも言える、各方面での結果。指導者はどう考えているのか、18年まで監督だった原公彦・総監督と、その後を引き継いだ吉﨑琢朗監督に聞いた。

草海選手へのセガサミーへの入社経過はー
原総監督(以下原) (2015年出場の)甲子園から帰って2年生だった草海と進路の話をするとき、(OBの)城下君を通じてセガサミーのほか、いくつかの大学からも声がかかっていたが、本人は進学よりプロか社会人の意向でした。二択の中、3年生の6月ぐらいにはセガサミーの方向が出ていました。

↑ 17年の社会人長野大会では野手で凱旋したセガサミーの草海

セガサミーは野手で入部しましたー
原 本人がやることなので、やりたいところで挑戦してみなさいと言いました。ただ、パワーがないので打者では苦しみました。毎年挨拶に来ると嘆いていました。

おととしのシーズン途中に投手に再転向―
 6月ぐらいに顔を出したとき、「迷っている。どうしたらいいですか?」と尋ねてきました。気持ちは決まっていたんでしょうが、「投手をやった方がいいよ」と言いました。ただし新しい球種がないと通用しないよと話したら、今年あんないいボール(ツーシーム)覚えていました。

草海選手の投手としていいところはー
 150㌔あるわけではなく、見ていてもあの体であのボールがなぜ投げられるのか。力の入れどころが分かってきて、ギアを上げたりするのをあの高いレベルでできるのはすごいです。日本選手権で頑張って、結果を残せればその先が見えるので、と言っていました。

目指すはプロですねー
 25歳まで、あと2年はやると言っていました。ドラフトを考えると勝負の年になります。

生徒本人の希望を優先するんですねー
 高寺のときもそうです。無理強いはしません。彼ら自身が逃げ道的なところを最初から持たないです。

高寺君は1年春から使いましたが、どこが良かったですかー
 打つ方で速いボールに反応できました。140㌔近いボールにも反応するセンスを持っていました。守備は堅実なことできればよかったので、空いていたサードで使ってもいいかと。

↑ 阪神入団の髙寺

2年後にプロ入りのイメージはありましたかー
 まだまだでしたね。上のレベルを考え出したのは2年の秋、ショートをやり出してから急に見栄えがよくなりました。横の動きも肩も、可能性がいろいろあると見えてきました。スカウトからも「スケールが大きい」という評価になってきました。

2年になって本塁打が急増しましたー
 あまり技術は変わっていませんが、もともと持っているものが体の成長で花開いたということだと思います。ボールを捕りに行くスピードやスローイングのスピード感がありました。まだ、うまくないですが、それを補う能力がありました。守備よりバッティングを一生懸命やっていましたね。

髙寺君はいつごろからプロを意識―
 3年になって6月ぐらいから本格的に意識し始めました。社会人がどこも取れる状況でなかったです。

プロ以外の選択はー
吉﨑監督(以下吉﨑) 高寺の気持ちを尊重し0から100ぐらいでドラフトに臨みました。もちろん最悪(指名漏れ)のときの準備もしておきました。

合同練習会でプロ入りに大きく前進しましたー
原 あれが最後のチャンスでした。夏(代替大会)はあまりよくなかったので声が懸からないかと思っていたところ、6打数5安打でプロに行く目が出てきました。

阿部君は法政入りですー
原 阿部が入学して来るときに、六大学を希望していました。法政ならワンチャンスあるかなと。甲子園に出場していなくても、実績面の基準はクリアしていました。
吉﨑 阿部もチャレンジしたいということで、100か0ぐらいのつもりで法政一本にしぼっていました。後輩たちも追っていきたい野心が出てくればいいですね。

↑ 法政大入りが決まった阿部

上田西としては六大学(硬式)入りは初めてー
 新しく進学先を開拓していくのも大事です。しかし、それを売りにするつもりはないですし、売りにするほど行かせていませんし。清水(怜前主将)が進学する桜美林もそうです。

近年の安定した戦績は育成はもとより生徒募集がうまくいっていることもあるのではー
 県外からは主力になれるような子にしぼっています。寮生は学年15人なので、できるだけ通学区の子は取りたいです。うちの野球スタイルに合う子でないと活躍できないので、あまりあんこ型はいないですよね。
吉﨑 今年は本校の第一希望者が集まりそうです。投手は腕の軌道を参考にしますし、野手は(バットを)振れる子が目を引きます。

スピードのある選手が多い印象ですー
 体に力があって、ある程度のスピードがある子になります。指導陣の中で話し合いながら決めていきます。

高校で伸びてくる選手はー
 体に力があるのが一番です。ただ守備に関しては意見が分かれます。捕手も難しいです。

伸ばす指導の方針はー
 特別扱いする気はないですが、まず軸になる選手はつくります。試合に出す量は違ってきます。(現主将の)柳澤も1年のときあまりよくなかったですが、「彼は出しておいた方がいい」と、経験させたので今があります。

意図的な部分も出てきますねー
 指導者の好みと言われると仕方ないですが、そういう部分は出てきます。1学年で3人ぐらい軸になる選手が出てくるとありがたいです。
吉﨑 期待しても無理して使うことはないですが、常に半年ぐらい先のチームづくりを考えた起用になります。

1年の早い段階から積極的に起用した選手が、その後チームの軸に何人もなってきましたー
 今の2年生の主力も、1年のときから使わて、吉﨑監督の下で主力になっています。私立として常に名前が残っていく4強入りを念頭にチームづくりをしています。

↑ 北信越準決勝で星稜を破り、センバツに前進した上田西

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