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【コラム】ドラフト 指名県勢の縁

プロ野球ドラフト会議で上田西高の横山聖哉内野手がオリックスから1位指名を受けた。もともと前評判は高かったとはいえ、県内高校生としては15年ぶりに最高評価を得た。

一方、前評判は決して高くなかったが、徳島インディゴソックス宮澤太成投手(長野高―北海道大)が西武から5位、TDK(秋田)権田琉成投手(上田西高―明星大)がオリックスから7位と支配下での指名を受けた。

ともに24歳になる長野市出身の宮澤と権田は川中島中学校時代、長野南シニアリーグに所属した同期のチームメート。長野南は3年春に全国選抜大会に出場しており、14年のnines3月号(vol.17)で大会前の戦力紹介をしている。

↓ 宮澤と権田が所属していた長野南シニア(14年2月撮影)

記事によると、エースと2番手投手は別におり、権田はそこに続くような存在。宮澤は投手ではなく、捕手や内野手だった。藤森監督に確認すると「権田はまだボールに力がうまく伝わっていなかった。宮澤は、肩は強かったが体は大きくなかった。2人とも高校から先でよく伸びた」と、プロにかかるまでの成長に驚く。

↓ 宮澤は長野高から一浪して超難関の北大に入学。留年もしたため北大4年に在学しながら徳島でプロ入りを目指してきた。nines春号(vol.61)に特集

ちなみに当時の小嶋悠太主将は、信濃毎日新聞の運動部記者となりドラフトの記事を執筆しており、深い縁を感じる。

長野南シニアからは2年前、上田西高から高卒で笹原操希が巨人に育成入団しており、奮闘中。南シニアの先輩になる宮澤、権田がプロ入りすれば、後輩たちには大きな励みになる。

↓ 昨年、23歳以下の日本代表にも選ばれた152㌔右腕の権田

またシニア関係では、横山は阪神・髙寺望夢(3年目)と同じ上田シニア出身。上田リトルからの流れも一緒で、横山は髙寺よりも3学年下なため、マイナーリーグなどでも同じチームでプレーはなかったそうだ。それでも練習グラウンドは同じで、横山は髙寺の背中を追いかけてきたと言う。

そして何より、上田西高校の育成手腕には目を見張る。20年に内野手の髙寺が阪神7位、21年に外野手の笹原が巨人育成4位、そして今年内野手の横山がオリックス1位、さらに大学社会人を経て彼らの先輩になる投手の権田がオリックスから7位指名を受けた。

権田こそ投手だが、ほかの3人は強打が売りの野手で吉﨑琢朗監督が就任して以降、指名をされている。打者として社会人野球まで経験した吉﨑監督ならではの指導があるに違いない。こちらはあらためて取材したいところだ。権田は、原公彦前監督時代の選手になる(髙寺、笹原も途中まで原前監督)。

長くプロ野球界に県出身のスラッガーが不在だったが、松本第一高出身の牧秀悟(DeNA)が完全に新たな扉を開いた。近年、県関係選手が球界に増え活躍する中、来季はさらに3人が加わる見込み。信州の野球が、最高の舞台でも通用するという活躍を期待したい。

↓ 横山が所属していた上田リトル

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