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【高校】北信越大会総括 県勢は1、2回戦敗退 崩れない相手を攻略できず

第151回秋季北信越地区高校野球大会
(10月12、13、20、21日・石川県)

雨天順延で秋の北信越大会は21日に決勝戦が行われ、敦賀気比(福井1位)が日本航空石川(石川3位)に最終回の強烈な攻防を制して6-5で逆転勝ちし、21年秋以来の優勝で幕を閉じた。敦賀気比と航空石川は今春に続き、来春のセンバツ出場に大きく前進した。

センバツには、気比は4年連続センバツ出場中で、航空石川は昨秋北信越4強ながら神宮枠(星稜が優勝)で今春選出されている。今大会、準々決勝(2回戦)で松本第一(長野1位)との気比戦、航空石川は県勢の空き時間に見たが、多くの人は大会前半からこの2校が優勝争いをするだろうと見ていたに違いない。それだけ力が抜けていた。

強いて言えば、1回戦で松本国際(長野2位)を4-1で下した福井工大福井(福井2位)が、準々決勝で最終回まで航空石川を苦しめたように、2校に対抗できる力があった。

↓ 秋の北信越大会勝ち上がり(石川県高野連HPより)

 

近年の秋季北信越大会決勝を見てみると
▽24年
敦賀気比(福井)6―5航空石川(石川)
▽23年
星稜(石川)2-1敦賀気比(福井)
▽22年
北陸(福井)2-1敦賀気比(福井)
▽21年
敦賀気比(福井)6-0星稜(石川)
▽20年(コロナ元年)
敦賀気比(福井)16―5上田西(長野)

秋季大会に限ると20年に上田西が決勝に進んでいるが、それ以外は福井勢と石川勢のみ。特に気比は5年連続で決勝に進んでおり、今回の松本一同様、県勢は何度も気比の壁に跳ね返されてきた。北信越で気比を破らないことにはセンバツは見えてこない状況にある。

この秋は星稜が北信越出場を逃したがこの間、2度決勝に進出。20年の上田西は、その星稜を準決勝で直接破ったことで翌春のセンバツを手に入れた。

福井、石川全体のレベルが高いとは感じないが、甲子園常連の数校の力が突出しており、こうしたチームを破らない限り、長野勢はセンバツに届かい情勢だ。

北信越には県1位の松本第一、2位の松本国際、3位の長野商が出場。松本一のみ1回戦を突破し、準々決勝に進んだが気比に敗れ、2週目の準決勝を前に県勢すべて姿を消す結果になった。

▽1回戦
松本第一3-1小松大谷(石川4)
松本国際1-4工大福井(福井2)
長野商業3-7新潟明訓(新潟1)
▽準々決勝
松本第一0-3敦賀気比(福井1)

↓ 県勢唯一準々決勝に進んだ松本第一

県勢3校が戦かった4試合で、合計得点は7。これでは苦しい。県大会の時点から「投高打低」の傾向があったが、北信越でも得点力は上がらなかった。

代表3校は県大会では、制球のいい投手を軸にストライク先行で打たせ、バックが堅実に守り抜いた。打線は長打が少ない分、犠打やセーフティー、さらに盗塁を絡めて進塁を促した。こうした攻撃で守りが崩れていったチームが敗れていき、崩れなかった3校が北信越へと進んだとも言える。

しかし、北信越だと相手もなかなか崩れない。一方で塁を進めても、あと一本を相手投手が献上してくれず、思うように得点できなかった。相手が崩れなければ、どう攻略するか。結局、ギアを上げてくる好投手に対して、ここぞの場面で一本を出せるかどうか。飛ばないとされる新基準のバットでも打って攻略できる打力は、県勢全体に求められる。

↓ 1点をかえし盛り上がる松国ベンチ(1回戦、対工大福井)

県内ではストライクを先行させていった投手も、ファーストストライクを狙われ、それをしっかり仕留められた。県内では打ち取れていたボールも、北信越出場チームは逃さなかった。

北信越で見られた投手の中で、航空石川の投手が140㌔をマークしていたが、全体にストレートで圧倒するような投手はほとんどいなかった。長野県勢の投手たちも決して劣っている印象はなかったが、打たれた場面からも勝負どころでの制球の精度や変化球の切れを上げていく必要を感じた。

↓ 先制に成功した長野商(1回戦、対新潟明訓)

これで県内各チームは来年夏の甲子園を目指し、再び横一線となり長い冬場を迎える。県大会でも紙一重で勝敗が決する試合が多く、北信越出場校を含め実力差はない。どのチームにも来夏制覇のチャンスはあるが、県代表校が全国で戦える期待感は現段階では薄い。強くバットを振る、強いボールを投げる、ところからオフシーズンのトレーニングに臨み、全国で対抗できる戦力を整えてほしい。

▼北信越出場県勢3校のエースの投球(動画)はこちら▼

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