【高校】コラム オフトレ取材を終えて
明日から4月。まだまだ肌寒い陽気が続くが、新学期となれば信州の野球モードも一段上がってくる。
タイミングを逃してきたが、この冬も県内の高校全チーム(秋の大会に出場した連合含む69チーム)のオフトレを取材させていただいたので、全体を見ての所感をまとめたい。
この冬は昨年12月と1月は非常に雪が少なく、一部を除いて多くのグラウンドがある程度使える状態にあった。逆に2月になるとたびたび寒波が襲来し、シーズン入りを意識した練習は足踏み状態。対外試合が解禁された3月も不順な天候が多く、冬前半の帳尻合わせになった。
グラウンドが比較的使えたこともあるが、実戦形式とまでいかないまでも例年以上にボール回しなどボールを使った練習を意図的に入れているチームが目についた。そういったチームがトレーニングを欠かしているわけではないが、体づくりの前にまず野球そのものをもう少しできるようになってほしいという指導者の危機感を感じた。
新高3は、中1になったときに新型コロナが流行。中学時代、存分に野球ができたとは言えない環境で3年間を過ごし、高校に入学した。単純に投げる、捕る、打つ、さらに打球判断といった基本的なものが少し足りない印象を昨年秋の大会でときどき感じさせられた。そう考えると、この年代は伸びしろをまだまだ残している。
ウエトレはどのチームも当たり前に取り入れ、外部トレーナーの指導を仰ぐことも珍しくなくなった。トレーニングをよく勉強させている指導者も多く、フィジカル面は確実に強化されていると確信する。
さらに、そこから一歩進んでよく耳にするようになったのが、鍛えた体を自分が思うように動かすための「操作性」を意識したトレーニングだ。野球は重量を競い合うスポーツではない。いかに野球に適したように体を操れるかが重要になる。鍛えた体をどう使いこなせているか、春の大会では注目したい。
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部員が1、2年しかいない冬の時期に回ると、人数の少なさを痛感させられる。公式戦ベンチ入り上限の20人を切るチームは連合を除いても41チーム。そのうち15人以下は33チームとかなり厳しい状況だ。
連合チームの参加校にしてもそれぞれ2、3人足りない、ではなく、部員全体で2、3人、もしくは1人だけというチームも1つ2つではない。来年、再来年になれば、という期待感も湧かない。
県内の昨年の15歳(男女計)の人口は約18,000人。10年後に15歳になる今の5歳は約14,000人と2割以上少ない。各野球団体やチームでそれぞれ普及、振興に向けた活動を活発に行っている。野球人口減少の速度は緩くなっているが、それを止める、さらに増やすことは極めて難しいと考えられる。
中学部活動では地域移行に向けた動きが本格化している。高校野球も地域校の指導者の中には「地域でクラブ化しないともたない」という声も耳にするようになった。高校再編統合を控えているとはいえ、学校単位の活動に一部、限界が見えてきている。これだけ連合チームが増えれば(秋は4チーム15校)、もはや学校対抗にこだわらず、状況によっては地域クラブもアリでは思える。私立校に通う生徒が、地元にある地域クラブが性に合えば選択できるような柔軟性もいずれ求められるかもしれない。野球をしっかりやりたい子の受け皿だけは整えたい。
また部員の少ない傾向が強い地域校の顧問は、初任などの若い教諭が多い。1人、2人の部員にも真剣に向き合う姿には頭が下がる。
こうした経験はこの先の指導者人生に必ず役立つと思うが、これだけ各校の部員が減って来ると、次に赴任した先、例えば都市部校でも部員が十分にいるという保証がなくなってきている。指導者として戦略や戦術を磨けるのも、部員がいてのこと。いずれ母校に戻って指揮を希望しても、部員不足や再編統合の恐れがつきまとう。
情熱ある若い指導者が存分に采配を振るう姿を見たい。