浮気で安定するカップル—揉めないセックスの秘訣[下]-[ビバノン循環湯 340](松沢呉一) -3,076文字-
「浮気の方が気持ちがいい—揉めないセックスの秘訣[上]」の続きです。
ノイズのないセックスを求めて
麻衣ちゃんのようなタイプは、浮気相手だとためらうことなくセックスに没頭できるのだから、気持ちいいのは当たり前。これが私の言うところの「ノイズのないセックス」である。
恋愛がからむとどうしても「気持ち」「体裁」「先のこと」などなどが入ってきて、セックスに没頭できなくなりがち。だから、いかに恋愛や結婚という枠組みでセックスする相手がいても、ノイズのない快楽を得られる風俗産業に行く人たちがいるのだし、働く側でもそこでのエロが「仕事なのに気持ちいい」ということになりやすい。
「浮気をすると気持ちが落ち着いて、彼氏との関係もうまくいくような気がする。彼氏のことをすごく好きでいるときは、何もかもを彼氏に求めようとするから互いに気詰まりになってしまうんですよね」と麻衣ちゃんは我がスポーツ・セックス思想、スポーツ恋愛思想に合致することを言う。
「まっ、そういうもんだ。好きな男や女とうまくやっていく秘訣は、相手に何もかもを求めないことだからな。“おまえだけだ”なんて言っているときは本当にそう思っていたとしても、そういう状態は長持ちするはずがないんだから、そういうことを言った時点で、こいつは信用できないと思った方がいいんでないかい」
「ああ、そうか。私も結局長続きしてないですからね。でも、自分としても、“この人だけ”と思えているときに幸せを感じているから、その状態も好きなんですよ。だから、彼氏とうまくいっているときは他の男はいらなくて、彼氏とうまくいかなくなったり、相手が浮気しているってわかったり、別れたりしたときだけセックスしてくれる相手が欲しい。でも、そういう相手とはセックスだけだから、ベタベタされると腹が立ってくる。彼氏だったら、セックスのあと、髪の毛をいじられたり、腕を回して欲しかったりするけど、浮気相手とは、終わったら、すぐに眠くなるから、“あっち行って”ってカンジになりますね。それでもいい相手だったら楽でいいのにな」
※René-Georges Hermann-Paul「Lovers on a Boating Party」
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