30代はまだひよっこ—いくつになっても風俗嬢[中]-[ビバノン循環湯 433] (松沢呉一) -3,348文字-
「50代が街のナンバーワン—いくつになっても風俗嬢[上]」の続きです。
年齢の二重構造
今までにも何度か書いてきたように、女の歳ってホントにわからない。AVギャルの桃井望が謎の死を遂げて、実年齢24歳だと報道された時もちょっと驚いた。あんな幼い顔して24歳だったのか。
この間取材で会ったコは営業年齢23歳。しかし、本人によると、「本当は24です」とのこと。顔立ちは大人っぽいが、小柄なこともあって若くは見えて、23歳でも通用する。一歳の違いで急に通用しなくなるなんてこともないし。だったら、最初っから1歳ごときサバを読まなくてもよさそうではある。
そのあと、従業員と話していたら、「彼女、もう30歳ですよ」と教えてくれてビックリ。実年齢27歳なのに店では22歳で出ていて、客には「本当は25歳なの」と二重にウソをつく三段階方式を採用している風俗嬢はよくいるが、30歳が表向きは23歳にしていて、「本当は24歳なの」と言い張るのは珍しいかも。
この方式のすぐれているところは「いくらなんでも22歳はないだろうな。風俗嬢はたいてい年齢をごまかすものだし」と思っている客に対して、「本当は25歳なの」と言うことで、「ああ、やっぱり」と納得して、それ以上は疑問をもたなくなる点にある。
30歳の女が「店では23歳だけど、本当は24歳なの」と言うのも、そのような効果が望めるわけで、たった1歳だけでも同じ効果が期待できる。
しかし、この程度はまだ序の口で、以前、20代だとばかり思っていた風俗嬢が30歳だったとわかって愕然とした話を書いたことがある。それでもこの時は初対面だったから、まだいい。最近、それを超えることがあった。
41歳の大学生
ある風俗店の人とダベッていた時のこと。
「××ちゃんは長いですよね」という話になった。この××ちゃんは、都内のヘルスで抜群の人気を得ているコ。彼はこの××ちゃんがいる店で働いていたことがあるので、××ちゃんのことをよく知っている。
「そうねえ、もう25歳くらいになるんじゃないのかな」と私が言ったら、彼はニヤリと笑った。
「松沢さんも知らなかったんですね」
「なんだよ」
「彼女、もう40代に入ってますよ」
「ナニーッ! そんなハズはない。だって、オレが知り合った頃は、まだ大学に行っているって言ってたよ。あれから20年にもなるのかよ。5年くらいしか経ってないような気がするぞ」
「その段階でウソですよ。僕があの店にいた時、36歳でしかたら、今は41歳くらいになるんじゃないかな。そんな大学生あんまりいないでしょ」
「そんなバカな。オレと変わらないってことか」
「そうですよ」
「だけど、弟と妹がいて、その学費も出しているって」
「だから、ウソですよ。20年前の話でしょう。僕らもそのことはずっと知らなかったんですよ。あの店、警察が入ったことがあるじゃないですか」
5年ほど前のことだ。そうとは知らず、未成年者を使っていたのである。
「その時、警察から、“おまえの店は未成年を使っているのかと思ったら、36歳の女も使っているのか”って言われた。誰のことかわからなかったんですけど、彼女のことだったんですよ。社長は入店の時に年齢を知っていたんだけど、僕らにも言わなかった。彼女はお客さんにも言ってないと思うし、店の友だちにも言ってなくて、僕らもまさか彼女が36歳だとは思わなかった」
いよいよ彼女に敬意を抱いた
彼女とは共通の友だちも何人かいるのだが、誰もこのことは知らないはずだ。
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