セックスワーカー救済のためのファンディングが世界各国で始まった—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[5]-(松沢呉一)-[無料記事]
「セックスワーカーのホームレス化が世界中で進行か—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[4]」の続きです。
長くなってしまったので、2回に分けたのですが、そしたら各種ファンディングを紹介しているだけになってしまったため、今回は無料記事です。
この動きの背景は「世界に広がる赤い傘—共感できるフェミニスト・共感できないフェミニスト 13」「増加し続けるセックスワーク関連団体の事情—おそらく現在500団体以上」を参考のこと。
助け合い
こういう状況ですから、十分な貯蓄のあるセックスワーカーや他の収入があるセックスワーカーたちは、いつまで続くかわからない休業期間に入っています。どこの国でも同じ。
そういう人たち以外はどうしているのか。
ECP(English Collective of Prostitutes)の声明にもあったように、コミュニティがうまく形成されている地域では助け合いです。金の余裕のある人は金のない人を援助する。家がない仲間たちを自宅に住まわせて、共同で食事をする。複数のセックスワーカーによる共同生活は違法になっている国もありますが(以前書いたように管理売春につながるためです)、仕事をしていないのですから問題なし。
売春宿のオーナーがセックスワーカーたちの無料宿泊所として提供しているケースもあります。少なくともホームレスになることは避けられます。
オランダのセックスワーカー組合であるPROUDのメンバーは、3月上旬にアムステルダムの飾り窓が閉鎖が命じられるとともにセックスワーカーの援助を目的としたDEF(dutch emergency fund)と題したクラウドファンディングを立ち上げています。
この時点では、オランダではコールガール方式は続いていたのですが、これも3月末に禁止されていますので、いよいよ困窮している人は増えていて、12,000ユーロ程度の資金では焼け石に水ではありましょうけど、「子どもとともに餓死寸前」「自殺するしかない」といった状態の人々をまず救うためには有効ですし、オランダではこれだけではなく、別の複数の団体も寄付を募っています。
各地でクラウドファンディングが立ち上がっている
これ以降、すごい数のファンドが世界各国で立ち上がっています。
ヨーロッパを中心とした107団体が加盟するセックスワーカーの権利委員会であるICRSE(The International Committee on the Rights of Sex Workers in Europe)が募金を呼びかけていて、募金を受け付けている団体がリストアップされています。
このリストはヨーロッパだけですので、他の地域を含めて、順不同で一部を取り上げてみます(各ファンディングの冒頭の傘マークが化けていたらごめんなさい)。
お馴染みオーストラリアのスカーレット・アライアンス(Scarlet Alliance)によるクラウドファンディング。
ベルリンの複数の団体による連合体Berlin Collective Actionによるクラウドファンディング。
セックスワーカー・元セックスワーカーによる米国の老舗団体コヨーテのロードアイランド支部(COYOTE RI)によるクラウドファンディング。
南アフリカのSWEATという団体によるクラウドファンディング。
ポーランドの従業員とセックスワーカーの団体SWP(SEXWORK POLAND)のクラウドファンディング。
インドのクラウドファンディング。
これは個人による呼びかけです。Arundhati Ghoshはインドでは相当に名を知られた人のようで(同姓同名のもっと著名な人がいますが、そちらは故人)、India Foundation for the Artsという団体の事務局長です。芸術関連の財団であり、団体名は使えないため、このクラウドファンディングは個人で立ち上げた模様。
これもインドのNNSW India(National Network of Sex Workers)という団体のプロジェクトで、一ヶ月分相当の食糧キットを送るというもの。
現金の方がいいという人もいるでしょうが、現金だと他のことに使ってしまう人たちもいますから。大量購入した方が安いですし。
ここはクラウドファンディングではなく、振込による寄付を募ってます。
スペインのOTRAS(Organizaciónde Trabajadoras Sexuales)のメンバー4名によるクラウドファンディング。
ビバノンでは何度か登場しているフランスSTRASS(Syndicat du Travail Sexuel)のクラウドファンディング。
いいですね、マスクセックス。私が今一番やりたいのはこれです。全然性欲がないのに、物は試しでやっておきたい。その辺のマスクでは効果は期待できないので、全裸に防毒マスクにしたい。冤罪で刑務所に入れられて、面会に来た女とガラス越しにチューするようなもどかしさがたまんねえ。なんて言っている場合ではない。
なお、防毒マスクは安いもので3万円くらいから。相手の分も買うと6万円ですが、どっちかがしていればいいのか。でも、プレイとしてはどっちもしていたい。そんな金があるなら寄付するわ。
寄付するとしたらどこだろう。生活が大変そうなインドでありましょうか。南アのひどいロックダウンも気になります。しかし、やっぱりイタリアか。あれ? イタリアのファンディングはないぞ。
これを含めて、気づいたことについては次回詳しく書きます。