ウクライナ極右勢力の発展と没落—ポストコロナのプロテスト[90]-(松沢呉一)
「ムセベニ大統領が不正をした可能性はある。しかし、不正の証明は難しい—ポストコロナのプロテスト[89]」の続きですが、内容は「セルビアに見る左派と右派のアンチ・ロックダウン—ポストコロナのプロテスト[83]」あたりからつながってます。
東ヨーロッパのトランプ支持者
ウガンダについてはもう少し書いておきたいことがあるのですが、大統領選の騒動が落ち着いてからにするとして、その前のセルビアからの流れで触れておきたいことがあります。
難しすぎて踏み込みにくいのですが、東ヨーロッパでもトランプ支持はけっこういます。
これについてはラジオ・フリー・ヨーロッパ(Radio Free Europe)の2012年1月7日付「‘We Know What To Do’: Far-Right Figures Across Eastern Europe Applaud U.S. Capitol Violence」が参考になります。
しっかりマスクをしている「よい子」たちですね。
ウクライナは3月から屋内を中心としたマスク着用の義務化が始まり、4月から広場や公園、公道など屋外の公共の場にも拡大されています。とは言え、日本円で千円程度の罰金ですから、実際にはつけていない人も多く、運用もアバウトなようです。実際に罰金刑になっている人たちもいますが、おそらく警察の指導に従わなかった人たちで、いきなり罰金ではなさそうです。
そのため、公道でもつけていない人は多いのですけど、この写真の人たちは法律遵守の真面目な人たちです。
ウクライナの極右グループ
これはウクライナのアゾフ市民軍(Цивільний Корпус «Азов»)が、昨年8月、独立記念日のパレードに参加した時の写真です。アゾフ市民軍は、アゾフ連隊(Окремий загін спеціального призначення «Азов»)を退役した者たちとアゾフ支持者によって組織されています。
アゾフ連隊は民兵組織で、国軍とともに戦争にも参加しているのですが、モロにネオナチ。反ロシアとなると、ネオナチの出番です。
アゾフ大隊のマークはナチスの第2SS装甲師団ダス・ライヒ(SS-Panzergrenadier-Division “Das Reich”)をアレンジしたものです(ダス・ライヒのマークについては「メルケルがTwitterを批判して「表現を規制できるのは法に基づいた権力者だけである」としたことの意味をさらに考える」を参照のこと)。
このマークはウクライナの極右が好んで使うイディヤ・ナツィイ(Ідея нації/国家思想)と呼ばれるもので、1991年にウクライナ社会民族党(Соціал-національнапартіяУкраїни)が採用したのが始まりです。ダス・ライヒが由来であることは明らかですが、あくまでIとNの組み合わせということです。
アゾフ市民軍はハーケンクロイツを掲げていることもあります。
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