ウクライナ東部が緊迫する中、ヴィクトル・メドヴェドチュクの逮捕—ついでにサーシャ・スコチレンコの逮捕-(松沢呉一)
「戦火を逃れて安心したら、多くの人は働きたくなる—政府専用機に20人しか乗せなかった理由[パート2]」の続きです。
緊迫のウクライナ東部
ブチャその他での虐殺の検証、遺体の発掘作業は続いていますが、ともあれロシア軍が去ったキーウ周辺では落ち着きを取り戻しつつあるようです。一時はキーウまであと10数キロのところまでロシア軍が迫っていたのに、よく持ちこたえたものです。ロシア軍が弱くてよかった。
しかし、東部ではなおロシア軍が居座り、住民を連れ去っていて、その数は万を超えています。人質として使えるので、殺してはいないと思いますが、邪魔になったら殺すかも。人の命をなんとも思わず、ロシア兵の命もなんとも思わないロシア軍ですから。
プーチンは今回の作戦の司令官を新たに任命し、シリアで残虐三昧をしてきた人物なので、よくなる見込みはない。この先も、ウクライナとしては徹底的に戦うしかなさそうです。
ロシア軍は北部に投下していた部隊を東部に回して、間もなく攻勢をかける模様ですが、ここ数日、ウクライナ軍が活発にドローン映像を公開しています。
以下はおそらく日曜日の映像です。
煙が出ているのを確認できるのは5両ですが、この隊列は完全に潰したとのことです。
注目すべきはこれがドネツクだってことです。つまりは東部。
これとは別にアゾフ連隊も戦車を砲撃したドローン映像を複数公開していて、それもマリウポリ近郊ということで、東部です。
東部はロシアに支配されている地域が多いわけですが、これらの動画はロシアの攻勢が始まって、ウクライナ軍も防戦をしているってことなのでありましょうか。
アゾフ連隊からはロシア軍は化学兵器を使用した疑いが報告されてますが、詳細は不明。
ヴィクトル・メドヴェドチュクの逮捕
またも「メデューザ」で読んだのですが、ほんの数時間前に、ゼレンスキー大統領がFacebookにこんな投稿をしています。
この人物はヴィクトル・メドヴェドチュク(この人物の日本語表記については次回を参照のこと)。覚えにくいぜ。ウクライナの元国会議員で、親ロシア派代表。プーチンの友人であり、「プーチンの右腕」「プーチンのゴッドファザー」とも呼ばれ、ロシアのウクライナ政策に大きく関与してきました。プーチンはキーウを攻略したのちに、メドヴェドチュクを大統領に仕立てる予定だったと言われています。
2021年に、クリミア半島をウクライナから略奪しようとした件で反逆罪に問われて(ロシアのクリミア半島侵攻の手助けをしたってことか)、同年5月13日から自宅軟禁に。
ロシアのウクライナ侵攻が始まる直前に妻はベラルーシ経由でモスクワに逃げ、侵攻4日目の2月28日にメドヴェドチュクも行方不明になっていたのですが、1ヶ月半ぶりにウクライナ保安庁(SBU)が逮捕。
ウクライナ・プラウダによると、国内に潜伏していたようです。迷彩服を着ているのは、軍人に偽装して逃亡しようとしていたためらしい。
ロシアのペスコフ大統領報道官はこれらの写真もフェイクの可能性があると言っているそうです。都合の悪いことはなんでもフェイクと言えばいいと思いやがって。
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