通信の傍受に気をつけよう—引退した60代の元少将まで駆り出されて戦死するほどロシア軍はパイロット不足が深刻-(松沢呉一)
発言者が特定されている電話の傍受
ウクライナ情勢は複雑化していて、正確に状況を把握することも難しく、単純に「ざまあ」とは言えなくなってます。また、戦時の情報は怖いところがあって、裏がとりにくいために誤報がよく流れます。だんだん私も慎重になってきています。
アレクサンドル・ドヴォルニコフがウクライナ侵攻の総司令官を更迭されたという説が出てますが、これもまだわからんですね。人事が安定せず、指揮系統も安定しないってことなので、「そうでありますように」と心から願いますが、ちょっと姿が見えないことだけを根拠に、そういった願望が導き出した説ではなかろうか。
ただ、アレクサンドル・ドヴォルニコフはあまり評判はよくないようです。
一週間ほど前に公開されていたものですが、今日気づきました。
これはラジオ・フリー・ヨーロッパの「Schemes」という番組です。ウクライナ軍から提供された電話の傍受記録を暴露しています。電話の傍受はよくありますが、この傍受は誰と誰の会話であるのかが特定されていることが異例。
1人はマキシム・ウラソフ大佐。もう1人は友人の軍医であるヴィタリー・コフトゥン。
ウラソフ大佐は「アレクサンドル・ドヴォルニコフは頭の悪い馬鹿」と言ってます。 4月14日付の傍受ですので、総司令官に就任して数日内のものです。実際、アレクサンドル・ドヴォルニコフはただの乱暴者の馬鹿っぽい。
「プーチンは雌犬」「ショイグは完全な無能」とも言っていて、「自分たち以外は全部馬鹿」と言いたいだけの電話かとも思いますが、本来公開されるべき前提の電話ではないにしても、本心でしょう。この2人の人格的問題もありそうですが、同時にロシア軍内部の不満がいかに蓄積されているかがわかりましょう。
コフトゥンはウクライナ出身らしい。親族もウクライナに住んでいることが番組では説明されています。それでもウクライナへの爆撃を肯定していますから、狂ってます。この狂いは、ロシア軍の内部でも、ロシア軍のプロパガンダが信じられていることによるようです。国民をプロパガンダで誘導する国家では、正確な情報が求められず、求めても得られないので、正しい判断ができなくなるわけです。
この番組の最後に、スタッフがマキシム・ウラソフとヴィタリー・コフトゥン本人に電話をして確認をしようとしますが、電話を切られています。さすがにこの2人はもう出世することはなく、そろそろ激戦地に送られているのではないでしょうか。
ウクライナの情報をチェックしていないのかもしれないですが、ロシア軍内で、「敵に傍受されるので、携帯電話の会話内容には注意しろ」と喚起するくらいのことはなされているでしょうに、底なしの馬鹿はこの2人でした。
※2022年5月31日付「УКРАЇНСЬКА ПРАВДА」 この番組を取り上げた「ウクライナ・プラウダ」。私はこの記事で番組に気づきました。
ローマン・クトゥーゾフ少将が死亡
プーチンが軍の作戦に口出しをしているという説も出ています。「自分以外は全部馬鹿」の王様がプーチンですから、最後はこうなりそうです。軍の反発が強まって、クーデターが起きにくいロシアでクーデターが起きるスキが生じますので、私も「そうでありますように」と願ってますが、事実かどうかはまた別。
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