松沢呉一のビバノン・ライフ

DJ SODAの騒動で納得しにくいこと—主催会社の責任とこれを日韓問題とすることへの疑問-(松沢呉一)

 

「犯人」が出頭するまでどうでもいい話だったDJ SODAの騒動

 

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DJ SODAの件はどうでもいいと思っていたのですが、次に取り上げようと思っているネタの導入として拾っておいてもいいか。

「どうでもいい」と思っていたのは、刑事事件化しない可能性があったためです。「被害者」であるDJ SODAの言い分だけではなんとも言えない。

本人はこれを「セクハラ」と表現し、それに追従したメディアも多数ありましたが、「おまえら、いっぺんセクハラの定義を調べろ」と思わないではいられませんでした。

主催会社はこの件を「不同意わいせつ罪(刑法176条)で刑事告訴する」と息巻いていましたが、映像だけではわからず(触っていることはわかっても、その意図がわからない)、それよりも、腕を握っているのが暴行罪に当たる可能性の方が高そうに思えました。こちらは映像にきれいに残っていて、しかも、相当強く握っているように見えますので。

しかし、どちらにしても、「DJ SODAが客席に倒れこまないように体を支えただけ」「自分にぶつかってこないように手を前に出したら向こうから胸を押しつけてきた」と被疑者が言い張ったら、書類送検まで至らず、至ったとしても起訴はされなかったのではなかろうか。

路上でいきなり乳を揉まれたり、腕をつかまれたりしたのであれば犯意を確定させることができますが、あの状況では別の意図があってもおかしくなく、それでも警察がわいせつ目的であると確定させるのであれば、逆さ吊りにして水の入った桶に頭を沈めるなどの拷問でもやるしかない。

そんな話でしたから、明らかな犯罪かのように扱っている人たちにうんざりするところがあったのですが、被疑者たちが出頭して急転直下「犯罪」に。

 

 

こりゃあかん。

乳を触ったこと自体は認めつつ、犯意を否定することはできると思うのですが、そういう知恵は働きそうにない。とくにこの場合、女の客がもっとも悪質で、乳を強く揉んだとDJ SODAが主張していますので、男らは触れただけなのです。故意ではないことにする道筋はあります。これは「乳を触った」「腕をつかんだ」を別の言葉でどう説明するかの問題であって、噓をつくのとは少し別の話。

現実に彼らは乳を触りたくて触ったのでしょうから、バカすぎて腹が立つ。とくに左のヤツは右のヤツの言葉をコピーとしているだけで、自分の言葉で話していないです。大学生だそうですが、「不同意わいせつ罪」なり「迷惑防止条例違反」なりで書類送検されただけで、少なくとも停学、最悪退学でしょう。どうせネットではもう大学名や個人名は特定されているんでしょうし。同情する気なし。

これは自首にはならないですけど、反省しているのは本当でしょうし、だからこうやってバカ面晒しているわけで、謝罪もしていることなので、警察や検察も少しは考慮するでしょう。

バカすぎですが、謝罪をする人間を許す方針なので、これ以上、叩く気はないです。

 

 

主催の責任を見逃してはならない

 

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しかし、話はこれで終わりません。

本人たちが出頭し、あの様子から、不同意わいせつ罪」か「迷惑防止条例違反」か「暴行罪」か何らかの罪に問われる可能性が高まったことによって、改めて主催も責任を問われるべきです。すでに多くの人が指摘しているように、乳を触った人物の責任とは別に主催にも責任があります。

コンサートで、客が前に押しかけて、将棋倒しになって死亡者が出たら、主催なりイベンターなりが業務上過失致死罪に問われることがありそうです。

もしこの時に主催がそんな責任などないかのように、「前に押しかけた客たちを未必の故意の殺人罪で刑事告発する」と息巻いていたら、どう思います?

今回はそんな大げさな話ではないながら、DJ SODAがああいう行動をすることはわかっていたことですから、事前に打ち合わせをして警備をつけるってもんです。実際、コンサートでは柵の前に警備員やスタッフが待機しているじゃないですか。

コンサートの製作をやっている人たちだと大半が「主催がミスった」と思うはず。それを言うと、今後同様のことがあった時に自分らの責任を問われるので言いにくいでしょうが。

 

 

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