米国で半数の中国人留学生が不正によって退学処分になっている理由—中国経済の停滞と国民の不満噴出[補足編2]-(松沢呉一)
「春節の花火に紛れて山東省で20名以上が銃殺された事件と中国サッカーの八百長—中国経済の停滞と国民の不満噴出[補足編]」の続きです。
なぜ米国で中国人留学生は不正をするのか
「春節の花火に紛れて山東省で20名以上が銃殺された事件と中国サッカーの八百長—中国経済の停滞と国民の不満噴出[補足編]」に書いた「47.9パーセントの中国人留学生が不正で退学処分になっている」という話にもうちょっと補足しておきます。
念のために確認しておきますが、以下書いていくのは、米国に留学した中国人の特性であって、それ以上のものではありません。それ以上のものかもしれない可能性を否定しませんが、そう考える根拠を私は持ってません。
すでに述べたように、バレない人たちもいるでしょうから、米国に留学する中国人の半数以上が不正をやっているのだろうと思えます。友だちのレポートをコピーする、ネットの文章を丸写しする、実験の数字を改竄するといった不正はバレやすいとして、完全なレポートを代筆してくれる業者に頼んだらバレにくい。その分、料金がかかりますが。
また、この数字は、不正によるものであり、授業についていけず、単位を取れないための退学処分や自主退学もありますから、中国人留学生の退学率はさらに高くなります。
よく言われるように、「日本は入学するのは難しいが、入ってしまえば卒業は簡単。しかし、米国は逆」です。とくに最近は不正に対して米国は厳しくなってます。
前に、米国の大学の懲戒についての基準を調べた時に、あまりに細かく決まっていて驚きました。細かすぎて、すべて理解することは諦めましたが、学生を聴取する場合は弁護士を呼んでいいことになっていたりもして、学生からの異議申し立てや不当処分だとして訴訟も起きているのだろうと想像できます。それだけ処分も多いのでしょう。
では、米国全体の数字も確かめておきましょう。
米国の大学を8年間で卒業する率は65.2パーセント。これは2年制を含めた数字で、4年制に限れば72.4パーセント。8年間で卒業できず退学になるのは27.6パーセントです。日本は3パーセント程度なので、比較にならず多い。人種別ではアジア系の77パーセントが4年制大学を卒業。これは2022年のデータですが、2013年入学組からの集計なので、今では中国人留学生が数字を下げていそうです。
なぜ中国人留学生はこんなに不正や退学が多いのかについての分析もよく出ていますが、だいたいどれも同じ。中国ではカンニングが横行し、不正をサポートする産業が成立しています。これが国外の大学受験でも行われ、とくにコロナ禍でオンライン受験ができるようになったことが不正を一層蔓延させ、金はあるけど、能力の低い金持ちの息子・娘たちが入学することになり、入学してもついていけないため、不正に頼るとする分析が多数見られます。
✳︎2022年12月12日付「rest of world」 中国のカンニング事情を取り上げた記事。再現でしょうが、オンライン受験の不正がどう行われているかの写真がリアル。
数字に出るよりもっと多くの中国人留学生が不正をする可能性がある
「47.9パーセントの中国人留学生が不正で退学処分になっている」との調査結果を発表したホールレン・エデュケーションの共同創設者は、2015年の段階で、こう言ってます。
「ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置くホールレンの開発責任者チェン・ハン氏は、「かつて中国人学生は一流とみなされていたが、過去5年間でそのイメージは完全に変わった。不正行為をする裕福な子どもたちだ」と語る。
——2015年5月29日付「The Wall Street Journal」
中国人の留学をサポートしてきた団体の嘆きです。
(残り 1271文字/全文: 2887文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ