韓国民が金を出さないK-POPを日本に押し付ける「Kコンテンツ戦略ファンド」—韓国のポップスに浸ってみた(12)-(松沢呉一)
「大韓サッカー協会と文化体育観光部とK-POP—韓国のポップスに浸ってみた(11)」の続きです。
空疎な「Kコンテンツ戦略ファンド」
すでに数字を確認したように、韓国人は文化に金を使いません。「GDPで日本を超えた」とか「先進国になった」とか鼻高々の韓国人たちはこのことを直視すべきです。見栄のために不要な高級車は買っても、外見をよくするために服や宝飾品、整形には金を使っても、有料のコンサートや展覧会、演劇には行かない現実を何とかせえ。
前回見たように、自国民が金を出そうとしないもんを他国に売り込むのに税金を使い、それでも足りずに企業から金集めをするのが「Kコンテンツ戦略ファンド」です。
韓国がやっているのは、文化に金を使わない国民からの税金を国外に売り込むために投資に回すという発想ですが、国民はその税金分を自身で文化に使うようにすべきでは? 政府としては韓国民が金を出しても聴きたい、観たい、読みたいものを生み出すことに金を使うべきなんじゃないんですかね。中身がなくても、金を使って広告を出し、数字を操作せば他国民は騙されるって考えるのはやめれ。でも、金を出せば、日本のテレビには出られるか。
テレビを筆頭としたメディアがいくら煽っても、さすがにK-POPにうんざりしている日本人が増え、コンサートに人が入らなくなっているのに、さらに金を使えば日本人は騙されるって考えるのは頭が悪すぎでしょう。現に騙されるのがいるのが悲しいですが。
✴︎2024年10月2日付 「nate」 「Kコンテンツ戦略ファンド」の署名式の様子。批判しているメディアもありますが、「今も投資した企業への税優遇措置をとっているのに、これ以上、優遇するのか」といった批判であり、国家が文化に税金を使うことへの批判やKコンテンツの現状を踏まえた批判は、大手メディアでは見当たりませんでした。
文化予算の各国比較
韓国以上に、自国の文化保護と輸出をバックアップするために税金を投下している国は存在しています。調査が古いですが、以下に数字が出ています。
「諸外国における文化政策等の調査比較研究事業報告書[概要版]」より
このリストを読むには注意が必要。
日本は、スポーツ庁と観光庁の予算は別で、文化庁の予算だけです。
英国はスポーツの予算が含まれていて、観光庁は別。
米国は、スポーツ、観光とも州が担当し、連邦予算がそれを補助することがあります。文化は民間に委ね、外郭団体である国立芸術基金(NEA)が連邦政府の予算から各民間団体を援助する仕組みになっていて、おそらくここに出ている文化関係機関はそれを指しています。仕組み違いますが、文化分野の国家予算だけですから、日本と同じ。
ドイツではスポーツの独立した省庁がなく、内務省の担当ですが、原則スポーツ予算は州が負担し、観光は観光庁が担当。よって、日本と同じで、文化分野の予算のみ。
フランスは都市・青少年・スポーツ省と観光開発機構がそれぞれ担当しているため、やはり日本と同じ。
韓国はそれらを統括する文化体育観光部の全体予算と文化財庁の合算なので、他の国より多くなってます。
国民1人当たりの文化分野への投入額は現在世界一
国民1人当りの支出を見ると、フランスは韓国より多い。文化分野のみの予算にもかかわらず。この表に出ているフランスの予算は、今現在の文化コンテンツに使われる予算だけでなく、過去の文化遺産の保護、修復、復興の予算も含まれており、文化財の多いフランスが多いのは当然ではあります。
また、フランスは文化の伝承等のも多くの予算を割いており、これと文化財の予算を合わせると、全体の半分以上を占めています(58パーセント)。
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