松沢呉一のビバノン・ライフ

無形文化遺産登録/日本版ミシュラン/アニメ/店舗の海外進出/デリバリー—日本食ブームとその本質[3]-(松沢呉一)

農林中金の調査を見て納得した—日本食ブームとその本質[2]」の続きです。

 

 

日本食が急速に人気になった流れ

 

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たしかにここ10数年、日本食が世界的に評価を高め、人気も高めています。

その理由や背景はいろんな人が書いていますが、私も農林中金による「最もおいしかった日本の料理」調査を見ているうちに気づいたことがあるので、他の人の指摘と重複しつつ、この機会にまとめておくことにしました。

ひとつのきっかけは2013年に、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことでしょうか。あるいはこれは結果でしかないのかもしれないけれど。

 

その前の動きとしては、2007年に、欧米では初めてミシュランガイド東京版が発行されています。国内的にも「ミシュランで三ツ星のレストランにいたシェフ」といった表現がやたらと増えていき、当然、観光客もガイドとして使うようになっていきます。2009年には京都・大阪版ができます。東京版は横浜や鎌倉、京都・大阪版は奈良、神戸に範囲を広げ、特別版として他エリアも拾い上げており、ほとんど全国を網羅しています。

日本版ミシュランのサイト

 

 

漫画とアニメの影響

 

vivanon_sentenceこれらはいわば公的な評価と言えますが、卑近なところで間接的に日本食を広めていったのは漫画やアニメです。

 

 

米人による、テレビや映画で観た料理を再現するチャンネルです。この回はアニメ「NARUTO」に登場する味噌とんこつラーメンを再現。372万再生回数! 麺はさすがに既成品ですが、あとはほぼ手作り。チャーシューが厚すぎるように思いますが、これはこれでうまそう。

もちろん、なるとが入ってます。古くからの中華そば系の醤油ラーメンではなるとが入っていたりしますが、最近のラーメンで見かけることは減ってます。ところが、海外のラーメン屋ではなるとがよく入っているのです。明らかにアニメの影響。

 

 

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