UBIソフト本社社員のストライキがスタート—ついでに文化財の著作権を整理する-(松沢呉一)
「BOT疑惑アカウントの凍結と逃亡準備のスウィートベイビー—UBI幹部を次々斬首していく「弥助ゲーム」を待望する」の続きです。
UBIソフト本社でストライキがスタート
前にも軽く触れたUBIソフトの組合による3日間にわたるストライキがスタートしました。フランスではストライキやデモ、暴動は日常化しているので、一企業のストライキごときでさしたる話題にはならないだろうと予想していました。
コロナ禍にリモートワークが認められて、その条件は人によって違い、100パーセント自宅勤務の社員もいたのですが、会社側は一律に週に3日以上の出社を求めたことに組合が反発したものであり、社外の人たちにとってはどうでもいいでしょう。
しかし、主要メディアはことごとく大きく報じています。意外でしたが、UBIソフトだからこそか。
以下は公共放送のフランス24。
この報道に限らず、UBIソフトを次々と襲う災厄を一通り紹介しています。セクハラ問題、株価の低落、「スター・ウォーズ アウトローズ」の不振、テンセントの買収交渉、「アサシン クリード シャドウズ」への批判と発売の延期など。なぜ「アサシン クリード シャドウズ」が批判されているのかまで踏み込んだものは見ていませんが、映像は使用されてます。正確に批判内容を説明するのが難しいですからね。
記事を読んで、改めてリモートワークの制限がそう簡単な問題ではないことがわかりました。出社する必要がなくなって、勤務先から離れた場所に居を構えた社員もいて、出社が義務化されると辞職すると言ってます。
パリにあるUBIソフトのスタジオでアンケート調査を行ったところ、800人の従業員の半数以上から回答があり、60パーセントが「辞める準備ができている」と回答。会社に対する脅しの意味もありましょうから、その分、割り引いた方がいいですが、買収や倒産がリアルになってきている今、転職をまったく考えていないのはよっぽど鈍感な社員だけでしょう。
たぶん契約上の問題だと思いますが、リモート制限の実施は、早くても来年3月。今の予定では、「アサシン クリード シャドウズ」が出た後です。その時まで会社は存在しているかどうか。
✴︎2024年10月15日付「Rapports de force」 社会運動のためのメディアと銘打っているだけに、組合員の言葉を多数掲載しています。
文化財の著作権
以下は蛇足です。今後にも関わることなので、強制夏休み中に、「これは書いておいた方がいいな」と思っていたことをまとめておきます。たぶんもうまとめている人がいるでしょうが、私は私でやっておきます。
寺社や保存団体が管理する文化財において、無断使用を禁ずる旨が明示されていることをもって、UBIソフトが「アサシン クリード シャドウズ」で使用していることを問題にしている人たちがいて、一方で、「何百年も前の文化財に著作権があるはずがない」との反論がなされています。フランセ君もそう主張してました。
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