ヴィタリー・ズドロヴェツキーに対するフィリピンの姿勢/ジョニー・ソマリに対する韓国の姿勢—迷惑系外国人にどう対処するか-(松沢呉一)
その後のジョニー・ソマリ
3月7日、韓国でジョニー・ソマリの初公判があり、ジョニー・ソマリは1時間の遅刻。なめくさってます。4月9日に2回目の公判が開かれる予定だったのですが、ジョニー・ソマリ側からの要請で5月に延期されました。理由は不明。
彼は静かにしていることができないようで、初公判の後、尹大統領弾劾反対デモに登場。しかし、ここでも殴られています。
韓国では「ジョニー・ソマリを見たら殴っていい」という合意ができているので、どこに行っても殴られます。
刑務所に行くのが確定していると言っていいジョニー・ソマリが「刑務所に行きたいのか」と怒鳴っているのが滑稽。
韓国メディアに限らず、「懲役10年以上」なんて言ってますが、それぞれの犯罪の上限を加えただけです。韓国ではそうなることもあるのかもしれないですが、軽い犯罪を複数やったからって、それらを単純に加算して刑期が決定するなんてことはないでしょ。
もっとも重そうなのはディープフェイク・ポルノですが、初公判の段階では、コンビニに対する営業妨害と軽犯罪だけで、ディープフェイク・ポルノはなぜ起訴されなかったのか不思議でした。てっきり私は「検察の作戦か」と思ってました。罰金で終わったら、「韓国は甘い」ということになりかねない。そこで、容疑を複数の裁判にばらして裁判を長期化させる。その間、ジョニー・ソマリは国外に出られず。仕事もできない。例えばこれが2年に達すれば、判決がどうあれ、迷惑配信者に対する抑止になります。
これは私の深読みで、実際にはディープフェイク・ポルノ容疑は初公判のあと追加されていました。これだけでも実刑まで持っていけそうですが、キスしているだけですから、普通に考えれば、もっとも軽度なものです。せいぜい2年か3年じゃないですかね。韓国の裁判は予想できないですが。
ヴィタリー・ズドロヴェツキーがフィリピンで逮捕される
その点、フィリピンは甘くないです。4月2日、在米ロシア人の迷惑系配信者ヴィタリー・ズドロヴェツキーがフィリピンで逮捕されました。
日本では全然知られていないですが、米国では人気があり、かつ嫌われている有名配信者です。生まれはロシアですが、その後、ウクライナに移住、14歳から米国在住。米国のグリンカードは取得していますが、現在も国籍はロシアだと思われます。
いわゆる「ドッキリ」の動画で人気を得るのですが、対象が黒人だったり、ホームレスだったりしたために批判されます。当初の「ドッキリ」は手間がかかるし、飽きられて、徐々にジョニー・ソマリのような行き当たりばったりの迷惑行為を国内外で繰り広げ、サッカーの試合に乱入し、YouTubeのアカウントをバンされて、Kickに移行。お決まりのコースです。
複数の逮捕歴があるのですが、不起訴だったり、罰金刑だったり、国外退去だったり。
しかし、フィリピンではそれでは済みそうにない。
フィリピンの内務長官、激おこ
警備員の帽子や店頭にあった扇風機を盗み、地元の人々に嫌がらせを続けたため、反発が強まり、政府に対して対策を求める著名が始まり、メディアも連日取り上げ、ついには逮捕に踏み切ります。撮影をしていたのはフィリピン人らしく、この人物も幇助として行方を追ってます。
フィリピンで逮捕されても、ズドロヴェツキーは強制送還されるだけだとたかを括って余裕綽々でしたが、フィリピンのジョンヴィック・レムラ内務長官は「強制送還をしてもまた他の国で繰り返すだけだ」として、フィリピンで裁判を受けさせると明言。
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