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【名古屋D】選手とファン、パートナー企業が一体となって、環境に配慮した循環型イベントを初開催

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)は68日、名古屋Dが地域の皆さまへの恩返しとして取り組む社会貢献活動「ドルフィンズスマイル」気候変動プロジェクトの一環として、株式会社折兼(以下、折兼)と共同で「バガス容器循環実験イベント」を行なった。

 

このイベントには、気候変動プロジェクトアンバサダーを務める齋藤拓実選手と梶山信吾GM、そして応募総数350人以上から抽選で選ばれた20名のファンが参加。ファンと選手が一体となって、環境に配慮した循環型イベントを行うのは初めてのことだという。

 

イベント冒頭、「バガス容器」の開発・販売を行っている折兼の広報・SDGs課 服部貞典課長がバガスについての説明を行った。

「バガス容器」は、さとうきびの搾りかすや竹など廃棄される植物を有効活用して作られており、土に埋めると分解される性質がある。ホームゲームでの「脱プラスチック」を推進している名古屋Dでは、2022-23シーズンより選手プロデュース弁当にバガス容器を採用してきた。

 

 

会場となったのは、株式会社ジョインボが所有する愛知県愛西市にある農場。心地よい風が吹き抜ける爽やかな青空のもと、参加者は「バガス容器」に入った「からあげ178」の弁当を賞味。齋藤選手は各グループを順番に周り、会話をしながらランチタイムを楽しんだ。

 

 

食事の後は、農場の一角に作られた「ドルフィンズファーム」に参加者全員で空になったバガス容器を埋めた。バガス容器はおよそ70日間かけて堆肥となり、その肥料を使って2024-25シーズンの選手マルシェ弁当に使用される玉ねぎやじゃがいもを育てる予定だという。

 

 

こんなに楽しくゴミを捨てていいなんて、子どもたちはとても楽しいですね」と齋藤選手は笑顔を浮かべながら、スコップを自ら握り、バガス容器を土に還していた。子どもたちも一生懸命バガス容器を小さくちぎって、齋藤選手を手伝っていた。

 

名古屋Dをハブに、地域の企業が連携して社会に貢献する

 

食品包装資材の専門商社の折兼は、プラスチックごみ問題や温室効果ガスによる地球温暖化が深刻化する中、エコ素材商品の開発に取り組んできた。バガス容器の開発は、釣りが趣味の社長が瀬戸内海に船釣りに出かけた際、最初に釣り上げたのがレジ袋だったという経験がきっかけになったそうだ。

 

「脱プラ」の観点から見れば、バガス容器を使用するだけでも環境負荷の軽減につながる。しかし現状では、石油由来、植物由来に関わらず、イベントで使用された容器は産業廃棄物として一括処理されるケースが多い。それでは、地球に還るバガス素材のポテンシャルを完全に生かしきれていないと言える。

 

そこで、折兼は、使用したバガス容器と残飯を回収して堆肥化し、その肥料を活用して作物を育てる取り組み「フードサイクリング」を提案。2022年に公益財団法人 愛知県教育・スポーツ振興財団が主催した「家族で学び、実践しようSDGs!自然体感キャンプ」でバガス容器の生分解性実験を行うなど、容器使用後の可能性を模索してきた。

 

ESD(持続可能な開発のための教育)にもつながるこの活動を、ドルフィンズスマイルでも実施できないかと検討してきたが、容器を埋める畑が見つからず、なかなか実施できずにいた。

 

「畑を探している」。名古屋Dのグッズ制作やEC業務をサポートしているジョインボの中島康裕代表が、フロントスタッフとの雑談でそのことを知り、「ぜひ、うちの畑を使ってください」と申し出たことで、今回のイベントがようやく実現に至った。

 

「社会的影響力のあるスポーツチームと共同で、選手と子どもたちと一緒にイベントを行うことができたことは非常に意義があることですし、私も非常に楽しかったです。

参加したファンの皆さまに、普段ホームゲームで使っている容器が実際に土に還ることを体感いただけたことも価値のあることだと感じました。

バガス容器を埋めたことによっていい土になっていくと思います。いい土になればおいしい野菜ができますから、そういう好循環ができれば嬉しいです」と折兼の服部さんは、参加者の楽しそうな姿を見て終始笑顔を浮かべていた。

 

齋藤選手も「ファンの皆さんと会話をする機会はあまりないので、いろいろな話を聞きながら楽しくランチができて、しっかり完食して、バガス容器を土に還すという楽しい取り組みが社会貢献につながる。とても新鮮な活動でした。

僕自身もSDGsについて学びながら気候変動プロジェクトアンバサダーをしています。バガス容器は2シーズン前から使用していますが、今日の活動がまた新たな一歩になればいいですね」とイベントを満喫した様子だった。

 

環境活動だけでなく、障害者福祉にも寄与

 

バガス容器循環実験イベントレポートとしてはここまでだが、その後についても少し触れておきたい。

イベント終了後、齋藤選手と梶山GMは、畑から5分ほどのところにあるジョインボと、併設されているNPO法人夢んぼのワークステーションを視察。名古屋Dのファンも多い利用者の大歓迎を受けた。

 

ジョインボは、障害のある方々に社会と繋がるきっかけや仕事を作ることを目的に事業を行っている企業だ。

 

事業の柱のひとつであるアグリ事業部では、今回のイベント会場を含む愛西市の広大な農作地で野菜を育て、地域の飲食店、食品加工業者へ販売を行っている。ドルフィンズファームも、今後は管理をジョインボに委託し、生産された野菜を名古屋Dが購入する。

 

また、ジョインボの主力事業であるアパレル加工では、刺しゅう及びプリント加工した商品を受注・生産している。中島代表が根っからのスポーツ好きなことも講じて、名古屋Dだけでなく、フットサルの名古屋オーシャンズ、アメリカンフットボールの名古屋サイクロンズなどスポーツチームのグッズの制作を多く手がけている。

 

 

「スポーツ事業も福祉事業もどちらも公共性が高いので、非常に相性がよいのではないかと考えています。スポーツチームのグッズを買うことで、障害者福祉に貢献できるという文化を作っていきたいです」と中島さんは壮大な夢を描く。

 

名古屋Dがハブとなることで、ファン・ブースターや地域の企業がつながり、環境、福祉と複数の社会課題を解決できるよいサイクルが生まれる。ドルフィンズファームの野菜とこのプロジェクトの成長が非常に楽しみな、プロスポーツクラブの存在価値をあらためて実感するイベントとなった。

 

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