プロ野球のドラフト会議はこう見ると面白い!補強ポイントで見る”欲しい選手”。
10月26日に新人選手選択会議(ドラフト)が開催される。本サイトでは今月から本番に掛けて特集していきたい。順次6球団のリストを公開していくが、今日はドラフトを楽しむ方法から紹介したい。(文・氏原英明)
10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議を前に、学生に義務付けられているプロ志望届の提出が始まっている。日本高野連、大学野球連盟のそのリストが掲載されている。
今回はこのドラフトについての正しい見方を話題にしたい。
まず、先にも書いたプロ志望届についてだが、学生に関してはこの届を出さないとプロからの指名を受けることができないことになっている。過去、この制度がないときは、高校生はプロとの接触を禁じられていたため、野球部へ退部届を出さないといけないことになっていたが、今は、そんなルールはなく、この届を出すだけで済むようになった。
この届の影響は、リストを誰でも閲覧することができるので、いわば「隠し球」の存在はほぼ消滅すると言っていい。リストの中からしか指名されないのだから、みんなが知ることになる。それがいいのか悪いのか難しいところだが、一方で、桑田真澄さんの件や城島健司さんの時のように、大学進学と公言させておきながら、しれっと指名する事は起きにくい状況と言える。
※レアケースは大谷翔平
ただ、このリストを見ていくと「誰も知らない選手」や「明らかにプロからの指名はないだろう」という選手も届を出している。理由は入団テストを受けるなどのプロと接触するケースだ。これは海外も該当する。大谷翔平は高校3年時、メジャー志望で、NPBには進まない旨を伝えていたが、この届は提出している。メジャーの球団と接触するからである。
その網を掻い潜って日本ハムは大谷の指名に踏み切ったワケだが、密約などがあったわけではない。
プロ志望届の説明はそれまでにして、ドラフトの楽しみ方だが、この時期になると、報道を通して伝わってくるのが、どの有望株がドラフト上位候補で、各球団のどのチームが狙っているなどの切り口だろう。
確かに、甲子園を沸かせた高校球児や侍ジャパンなどの代表選手になり、名の知れた選手の評価については気になるところだろう。早くその選手を獲得して、うちのチームの戦力に・・・
と考えたくなる気持ちも分からなくもない。
しかし、ドラフトとは元来、チームの数年後を作る骨組み作業のようなものだ。
いきなり家が出来上がるわけではなく、どこかのパーツを埋める作業でもあるのだ。家には床は2枚必要で、すでに2枚あるのに、1枚を加えても余るだけだ。
要するに、いかに補強ポイントに合致する選手を選ぶかが重要なのだ。
ここ近年、その報道も増えてきた。
手前味噌になるが、その企画を最初に始めたのはこの僕だ。
10年以上前からドラフトの報道に違和感を覚え、関西のスポーツ記者などと話していたのだ。
「誰が1位になるかを予想するより、それぞれの球団が補強ポイントから誰を取るべきかを書く方がジャーナリズムになるんじゃないのか」
例えば、今シーズンのレギュラーがいる。3年後、5年後と青写真を描いてみる。レギュラーの年齢から5年後にいないだろう、あるいはFA資格を取得しそうな選手だなというのが想像できてくる。
その空くであろうポジションをファームにいる選手で埋められるかを検討。その空いたところが「補強ポイント」となるわけである。
そこで、ドラフト候補選手リストを眺めてみるわけだ。
筆者が毎年作っているリストがある。
ドラフト前に必ず作る、各球団の布陣と3、5年後の予想布陣だ。
今季の現実と異なる部分もあるが、2022年度版は以下だ。
<2022年度版>
ローテーション | 3年後 | 5年後 | ||
髙橋 光成 | 25歳※ | 今井 達也 | 27歳 | 今井 |
松本 航 | 26歳 | 松本 航 | 29歳 | 松本 |
今井 達也 | 24歳 | 隅田 知一郎 | 26歳 | 隅田 |
隅田 知一郎 | 23歳 | 與座 海人 | 30歳 | 佐藤 |
與座 海人 | 27歳 | 佐藤 隼輔 | 25歳※ | 渡邊 |
エンス | 渡邉 勇太朗 | 25歳 | 羽田 | |
中継ぎ | ||||
本田 圭佑 | 29歳 | 井上 広輝 | 26歳※ | |
宮川 哲 | 27歳 | 宮川 哲 | 30歳 | 浜屋 |
森脇 亮介 | 30歳 | 佐々木 健 | 29歳 | 松岡 |
公文 克彦 | 30歳※ | 浜屋 将太 | 26歳※ | 黒田 |
水上 由伸 | 24歳 | 本田 圭佑 | 32歳 | |
セットアッパー | ||||
平良 海馬 | 23歳 | 水上 由伸 | 27歳 | 井上 |
抑え | ||||
増田 達至 | 34歳 | 平良 海馬 | 26歳 | 水上 |
(注)2022年のドラフト前に作成。※は印は早生まれ 年齢は昨年時点
オーダー | 3年後 | 5年後 | ||
外崎(二) | 30歳 | 鈴木(中) | 27歳 | 鈴木 |
源田(遊) | 29歳※ | 若林 | 27歳 | 若林 |
森(捕) | 27歳 | 川越 | 32歳 | 山村 |
山川(一) | 31歳 | 渡部 | 27歳 | 渡部 |
栗山(指) | 39歳 | 外崎 | 33歳 | 愛斗 |
中村(三) | 39歳 | 愛斗 | 28歳 | 中三河 |
オグレディ | 古賀 | 26歳 | 古賀 | |
鈴木 | 24歳 | 源田 | 32歳※ | 滝沢 |
愛斗 | 25歳 | 川野 |
去年のドラフトの頃と今とでは大きく違ってしまっているが、こう仮説を立てる中で、ドラフトする選手を選定していく。
ちなみに、2023年度版は現時点の西武だとこうなっている。
(残り 666文字/全文: 2664文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ