限界突パ

一流のスコアラーが目標。自主トレパートナーだった先輩・菊池雄星から学んだ「常に上を目指していく考えは今も変わらない」。【ライオンズに尽くした男たちの第2章 第2回 佐野泰雄】

投手が好投して相手打線を抑える。あるいは打者が相手投手を攻略して得点を挙げる。投げて、打って、守って、そして走る。勝利のために、チームは一つになって戦うが、勝利をした時、表に出ているのは選手だったり、それらを束ねた指揮官、コーチであるのだが、チームの勝利への貢献方法は様々ある。スカウト、スコアラー、育成コーチなど。かつてはプレイヤーとしてグラウンドに立ち、勝利に貢献していた選手たちが、今や影の立役者となって組織の一員として貢献している。ライオンズに尽くした男たちの「人生第2章」を追った。第2回は先乗りスコアラー佐野泰雄氏。2014年のドラフト2位で入団。同じサウスポーである菊池雄星(ブルージェイズ)に師事。自主トレーパートナーとして過ごした日々は今の彼の礎になっているという。

――去年に現役を引退してから1年はどんな1年間でした。
佐野 今まで野球しかやってこなかったんで初めて社会に出るみたいな感じでした。今まで好きで楽しくて野球をやっていたので、それがなくなって、仕事になったっていうか。スコアラー業界に入って右も左もわからない中で、スコアラーグループの先輩方に0から100まで全てを教わってできた1年でした。

 ――仕事になった野球の難しさ。
佐野 最初はいろんなミスをしながら一つ一つを見てもらいながらやってきて、シーズンの最後になってやっと形通りには動けるようになりました。

 ――形っていうのはどういうことですか。
佐野 仕事を覚えたというんですかね。先乗りスコアラーはこういう仕事をするっていう動きを覚えた。まだ自分の個性、“スコアラー佐野”としての個性を出せたかっていうのはまだできてないとは思うんですけど、それを出す形は覚えたかなと。

 ――2022年シーズンで現役を終えたと思うんですけど、そのときの心境はどんな感じでしたか。


佐野 現役を辞める気はなかったので、続けることを軸に考えていました。でも、そこから家族・妻に相談して、周りの人に相談をしていきながら球団には『選手として契約しないけど、スコアラーとしての契約』を提示していただいて、必要としてもらえているというのを大事にしようと思いました。

 ――現役の時は2019年に43試合登板など大きく飛躍した年でした。個人的には石垣島の自主トレを取材させてもらって、あの時はすごくいい方向に向いていたと思うんですけど、その辺りはどう振り返りますか。

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