「勝てるやろ」という油断があった 彦根総合は2年前のセンバツでなぜ力を出せなかったのか(前編)
高校球児にとって甲子園は憧れの舞台。それ故に意気込みすぎたり、緊張しすぎたりして、本来の力を発揮できないことは多々ある。
その印象が強いのは2023年春に初出場した滋賀の彦根総合。大会前の練習試合では本塁打を量産するなど打撃好調だったが、本番では初戦で山口の光相手に3安打完封負けを喫した。
彼らの身に何があったのか。現在は佛教大でプレーする当時の主将・上田大地とエースの野下陽祐に2年前の春を振り返ってもらった。今春の甲子園に出場する関係者が参考にしてもらえれば幸いである。

上田大地(左)と野下陽祐
プロフィール
上田大地(うえだ・だいち)
2009年9月26日生まれ。滋賀県甲良町出身。168㎝、68㎏。右投右打。内野手。彦根総合高では主将を務め、2023年春の甲子園に3番三塁で出場した。
野下陽祐(のげ・ようすけ)
2005年10月21日生まれ。滋賀県彦根市出身。172㎝、69㎏。左投左打。投手。彦根総合高ではキレのあるスライダーを武器に1年生からエースとして活躍した。
本調子ではなかった野下

甲子園初出場を決めた時の彦根総合ナイン
――甲子園出場が決まってから、練習の雰囲気などはどうでしたか?
上田「モチベーション高く練習はできたんですけど、対戦相手が決まってから心の余裕があったり、『勝てるやろ』みたいな油断があって、近畿大会前よりは厳しくは練習できてなかったと思っています」
野下「僕は甲子園で野球ができると思って、変に緊張してやってたんですけど、アドバイスとしては、結局試合するのは相手のチームなので、場所とかじゃなくて、相手のチームと戦えていたら、もっと良い結果が残ったと思います」
――野下投手は調子があまり良くなかったそうですね。
野下「練習試合が始まってもずっと力んで、調子が戻らなかった感じです」
上田「いつもだったら、カウントが取れている変化球がショートバウンドになったり、フォアボールが続いたり、リズムが悪いという感じでした」
――先発投手をどうするかという話になった時に野下投手は勝田新一朗(現・立命館大)を進言したそうですね。
野下「監督に『先発行きたいか?』と言われて、いつもだったら、『僕が行きたいです』と言うんですけど、甲子園の時は『そこは任せます。勝田の方が良いと思うのだったら、勝田で良いです』的なことは言いました。自分の調子は良くなくて、勝田の方が調子は良かったので、チームが勝てる方を選んだ方が良いかなと思っていました」
――直前の練習試合で打線は好調だったそうですが、前日などはどうでしたか?
上田「直前までは良かったと思いますけど、甲子園に入って、ちょっと緊張とかがあったんですかね。なんかいつもの感じじゃなくて、調子が出ずにそのまま行きました」
――宮崎裕也監督は何度も甲子園に出られている方ですが、何かアドバイスは受けていましたか?
上田「バックスクリーンが大きいからピッチャーとの距離が近く感じるだったりとか、観客席とボールが被って見にくくなるとかは聞きました」
野下「ストライクゾーンが滋賀大会よりは外角が広いというのを教えてもらって、外角に投げ分ける練習をしたりしました」
後編に続く