都市対抗を逃した九州最強打線が沈黙した理由━━Honda熊本・渡辺正健監督①
10月29日(火)に京セラドーム大阪で開幕する、第49回社会人野球日本選手権。九州地区からはJABA岡山大会で優勝した西部ガスをはじめ、地区予選第1代表のJR九州、同第2代表のHonda熊本が出場する。
昨年の日本選手権で2度目の準優勝に終わったHonda熊本は、悲願の頂点に向けて大阪へと乗り込む。この夏、チームは2016年から8年続いた都市対抗出場を逃した。そこから挽回しての日本選手権だけに、期するものは大きい。
チームを率いる渡辺正健監督は、全国準優勝、地区予選敗退と目まぐるしく上下したこの1年間をいかに振り返るのか。その舵取りを振り返ってもらいつつ、本大会への展望を聞いた。
勝負には運を引き寄せる力も必要だ
━━今年のチームは昨年秋の日本選手権準優勝を受けて冬を越してきたチームでした。高い士気でシーズンを迎えたのでしょうね。
「2021年に都市対抗で準優勝したあと、選手たちには『前の年に好成績を残したチームが、翌年に予選敗退するというのはよくある話だよ』という話をして、翌年もしっかり連続出場することができました。今年も同じような話をして、準備段階もしっかりやってきたつもりだったんですけどね。ウチは都市対抗第1代表決定トーナメントで沖縄電力に1-2で敗れましたが、今年の予選は沖縄開催ということもあって、地元勢に運があったなと受け止めています。もちろん勝負事なので運は絶対に必要です。それを引き寄せるためにも、徳の部分を積み重ねていくのは本当に大事なことで、ウチの選手たちもその点では抜け目がなかったと思っていたんですけどね……」
━━その都市対抗二次予選では初戦でエナジックに3-0で勝ち、続く準決勝で沖縄電力に1-2の惜敗。第2代表決定トーナメントではJR九州に5-3で勝利したものの、西部ガスに2-9で敗退しました。4試合で11点は、やはり強打を誇るHonda熊本にとっては“らしくなかった”ということになるのでしょうか?
「5月のJABA九州大会まではすごく順調に来ていたんです。打線も3割以上打っていたし、主力打者もある程度は打っていました。個別には課題もありましたが、チームとしては極めて順調に来ていたと思います。ただ、のちに僕と川嶋克弥ヘッドコーチとの間でいろいろ分析をしていく中で、ちょっとマズい部分を見つけてしまったのです。九州大会では強化練習を2日間やりました。そこでは、たとえ打てなくても点を取る術を磨こうと、戦術面を重点的に練習したのです。その結果、それが原因で振れなくなってしまって、バッティング自体が小さくなってしまいました。そして、その後のオープン戦から打率は一気に下がっていきましたね」