海星vs長崎日大 完全試合男の不在が勝者にもたらした収穫と、敗者に与えた打撃
【第156回九州地区高校野球 長崎大会 2回戦】
〇海星 3-2 長崎日大●
長崎日大 000110000=2(5安打)
海星 10200000×=3(6安打)
長崎日大
(投)長岡、古賀、宗 (捕)平野蒼
海星
(投)田端、柿原、小川悠、山中 (捕)小川直
[本塁打]川渕(日)
[三塁打]川原 (日)
[二塁打]重松(海)

海星の4番手で登板し右サイドから136~139キロのパワーボールを連発し試合を締めた山中
四天王のいない2回戦屈指の好カード
2021年から3年連続で秋の決勝を戦い、前チームは秋、春、NHK杯と夏を除くすべての県大会決勝で相まみえた。23年センバツでは県勢初のアベック出場を果たした海星と長崎日大。県勢最多の甲子園出場が海星で、同2位が長崎日大ということもあり、両校は長崎県内における最大のライバル関係にあると言っても過言ではない。
その海星と長崎日大が、春季大会2回戦で早くも激突した。ノーシードの長崎日大は、1回戦で西海学園に勝利したことで、第1シードで待つ昨秋王者・海星に挑む形となった。一方、海星にとってはただでさえ難しい大会初戦に、いきなり試練が訪れたわけだ。
今回の勝負には「陣内のいない試合」という大前提が両チームにはある。
陣内とは、海星のエース・陣内優翔(3年)。昨年5月のNHK杯地区予選で県内公式戦初の完全試合を達成し、昨秋準決勝で最速150キロを記録したスーパー右腕だ。九州では実績・ポテンシャルともに屈指の存在で、延岡学園・藤川敦也、神村学園・早瀬朔、鳥栖工・松延響と並ぶ右の「四天王」と評される大物である。
その陣内が、昨秋に肩を故障したことで調整が大幅に遅れている。この大会も背番号1でベンチ入りはしているものの、加藤慶二監督が期待しているのは代打としての役割だ。万全の状態で夏を迎えさせるためにも、加藤監督は大会前から「春の登板は考えていない」と示唆している。
つまり、海星にとっては陣内以外の投手にひとり立ちを促し、陣内抜きで勝ち上がっていくことを目的とした春の大会である。逆に昨秋の初戦敗退から巻き返しを期する長崎日大にとってみれば、陣内のいない海星にはどうしても負けるわけにはいかない。
そんな両者の思惑が激突した注目対決は、雨による天候不良で予定より1時間30分遅れのプレーボールとなった。

5回に1点差に迫る三塁打を放った長崎日大の斬り込み隊長・川原
「陣内のいない海星をここで叩いておきたかった」
試合は海星・田端壮太朗(3年)、長崎日大・長岡洲太(3年)の背番号10腕同士が先発。先制したのは海星で、初回2死二塁から4番・鰐川隆夫(2年)の左前タイムリーで1点を先行した。3回にも制球の定まらない長岡を攻め立て、5番・小林幹裕(2年)の中前打と敵失で2点を追加した。
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