【高校】諏訪清陵の新主将に女子マネジャー五味が就任
高校野球選手権長野大会は7月24日、準決勝を行う。残った4校以外は、すでに秋の大会に向けて新チームがスタートしている。このうち、長野大会初戦敗退の諏訪清陵は、2年生の女子マネジャーを主将に抜てきし巻き返しを図る。
↓ 自身で組んできたランメニューを動きを交えて説明する五味遥花主将
一番強くするために
諏訪清陵はこの夏、プロ注目のエース岩井柊弥(3年)を擁し、初戦で第7シード小諸商(準決勝進出)戦に臨んだが、4-9で逆転負け。しかし、昨夏はベスト8、秋も県8強入りし、この春は県大会出場(1回戦で都市大に3-4で敗戦)と、常に上位争いに絡んでおり、公立屈指の強豪と読んでも過言ではない。
捕手で中軸を打つ茅野悠喜(2年)ら夏の主力が複数残る中、守屋光浩監督が主将に指名したのが、女子マネジャーの五味遥花だ。歴任校すべてで主将は守屋監督が指名してきた。「チームが一番強くなるためには誰がふさわしいか」を選考の基準にする。
その中で、「五味はこのチームで絶対に勝とうと、チームに対する思いが強い。その意欲を買いたい」と、守屋監督は2年生7人のプレーヤーではなく、女子マネの五味を主将に抜てきした。
熱量に魅了される
五味は、父の克仁さんが同野球部のOBで守屋監督の1学年下、2つ上の兄・遼太さんもOBで、自然と野球に触れる環境で育った。五味自身は野球やソフトボールの経験はなく、中学(諏訪清陵付属)時代はバレーボール部と陸上部に所属していた。
ただし、遼太さんが清陵野球部に在籍している当時、「兄がすごい熱量で高校野球に打ち込んでいて、上を目指して頑張っている姿が魅力的に見えた」と、五味が高校に入学すると迷わず野球部に入部。その夏、チームはベスト8に入り、「勝ち上がるごとに一層楽しくなっていった」。
野球部への思いは強くなり、マネジャーとして献身的にチームを支えた。守屋監督にその姿勢が評価されたわけだが、主将の指名に五味は「驚きと困惑でした。マネジャー兼主将のイメージが湧かず、不安もある」と言う。守屋監督は「話題づくりでも何でもない。これから女子主将の像をつくっていけばいい。それが可能な学校、チームだと思う」と、信頼は揺るがない。
マネジャー業のほかに、茅野ら選手を交えて練習メニューを組んだりもしている。ラダーを使った走力トレーニングは、五味がネットで調べたり、陸上部で学んだことを生かしたりしてメニューを組んでいる。
ゲームキャプテンとしてフィールド内でナインを引っ張る茅野は、「ずっとうちの学年は誰がキャプテンだろうと話してきたが、五味は誰よりもしっかりしていて向いている。主将として、チームの空気が緩まないような雰囲気をつくってほしい。フィールド内のプレーでは自分が引っ張り、メニューづくりなどで五味をサポートする」と新主将を支える。
五味主将は「主将という立場と向き合っているところだが、譲ってはいけないところはしっかりと芯を通していきたい」と、不安の中にも強い意志をのぞかせる。「当然、来年夏の甲子園を目指す」。
部員は1、2年生で19人(マネジャー含む)。2年生のもう一人のマネジャー笠原小夏が副主将に就いた。
県内ではこれまで女子選手が主将を務めたチームがあったが、女子主将はまだレアケースと言える。
↓ 主将に就いた女子マネジャーの五味