OKINAWA Island Hoops

岸本隆一が語る“CSホーム開催”の意義 「そこに全てをぶつけるために戦っている」(前編) 【開設記念インタビュー第二弾】

 昨シーズン、Bリーグで初優勝を果たした琉球ゴールデンキングス。

 今シーズンも現時点で勝率7割を超え、西地区首位を走る。ただ、成績ほど順風満帆ではない。個の存在感が際立つヴィック・ローの加入や、アルバルク東京で2連覇を経験しているアレックス・カークの帰化など戦力が充実する一方、連係を深めるのに苦心。昨年10月の開幕から長い時間をかけ、少しずつ成熟度を高めてきた。

 これまでの戦いをどう評価し、どのような決意でレギュラーシーズン最終盤に向かうのか。現在、チームとして最大の目標はチャンピオンシップ(CS)でのホームコートアドバンテージを獲得することだが、リーグでNo.1の集客力を持つ沖縄アリーナの大声援はチームにとってどのような力になっているのか。

 「OKINAWA Island Hoops」の開設を記念し、クラブによる選手やHCのインタビューに、独自の聞き取りを追加した一問一答をお届けする。

 第二弾は、プロ入りからキングス一筋で12シーズン目に入り、33歳となった今もチームの顔役としてキングスを力強く引っ張るクラッチシューター、名護市出身の岸本隆一。前編は、連覇の難しさやファンの声援に対する思いを聞いた。

インタビューは313日付け

目次

・連覇に向けて覚悟していた「大変さ」

・チームに感じる「計り知れない天井」

・最終的に「みんが全部出し切る」ことが一番

連覇に向けて覚悟していた「大変さ」

ーーー今朝、何食べましたか。

 「もずくの味噌汁とご飯ですね。朝はウエイトトレーニングが早かったんで、食べてから急いで来ました。午前のトレーニングが終わって、今から午後の練習に備える感じですね」

ーーーでは、インタビューをお願いします。昨シーズンは初優勝し、今シーズンにはどういった思いで入ったんでしょうか。

 「優勝を経験してすごく充実感がある中で、シーズンが始まる前は『もう1回優勝したい』という思いがすごく強かった分、危機感もありました。いろんな大変なことがあるだろうなって。そういう気持ちでシーズンを迎えましたね』

ーーー優勝した翌シーズンの危機感はどういうものなんですか。

 「僕はbjリーグ時代で2回優勝を経験しましたが、いずれも連覇はできませんでした。どうしてできてなかったのかを考えた時、いい意味ではあるんですけど、やっぱりそれぞれが優勝するということに対して自信を持つんですよね。各々にもっとやりたいことが出てくる。ただシーズンを戦う中で、それが時に自分のやりたいこと、自分が正しいと思うことが先行しちゃう状態になることがあります。それはチームがうまくいくためにとか、より良くなるために、という部分とちょっとずれがあったりします。それが僕の経験した感覚です。そういう意味での危機感、大変さはあるんだろうな、ということは覚悟していましたね」

ーーーおっしゃるように、キングスはbjリーグ時代に4度優勝していますが、連覇はありません。当然すごく難しいことだと思いますが、そこにチャレンジできる楽しみも感じていますか。

 「シーズン終盤に差し掛かってきて、正直今はもう難しさとかは感じていないですね。あとはもう、どれだけ自分たちが健康で、その瞬間その瞬間を全力でプレーできるかということが大切だと思っているので。そういう意味では、不安よりも、今はもう楽しみとか高揚感みたいなものが気持ちの大部分を占めています」

チームに感じる「計り知れない天井」

ーーー西地区も非常に強豪が集まっている中、今はCSのホームコートアドバンテージの獲得を目指していると思います。その重要度はどう捉えていますか。

 「一番大きいことですね。もしかすると、本当に優勝以上に自分たちにとっては必要なステップになると思います。もちろんそのステップがあるかないかは優勝を狙う上で重要ですけど、自分たちの存在意義を示すためにも意味があると感じています。本当に、それくらいCSをホームで戦うかどうかは僕たちにとってすごく重要なことだと思います。CSのホームコートに全てをぶつけるために今戦っているという感覚です」

ーーー終盤戦は一つ一つのプレーの重要性がどんどん増してくると思いますが、どんな決意で試合に臨んでいますか。

 「昨シーズンは4月に入るくらいのタイミングで、何となく自分の中で腹を括った感覚がありましたが、今シーズンは現段階で自分なりに覚悟はできているつもりです。チームも少しずつ上向いてきています。あと、今のチームの良さは天井が計り知れないという部分です。まだまだここから、より良くなっていく余地がたくさんあると思っています。覚悟を決めつつも、まだ楽しみも残っているという気持ちですね」

最終的に「みんなが全部出し切る」ことが一番

ーーーチームは「団結の力」をずっと掲げています。大事な試合ではファンの力がより大きくなると思いますが、ファンと共にどう歩んでいきたいと考えていますか。

 「ファンの方の後押しというのは自分たちにとってなくてはならないものであり、一つの武器だと思います。特にCSという舞台を戦う上では、応援してくれる方の後押しが必要不可欠。相手も含め、CSは選手がバスケットボールの魅力を存分に感じつつ、お互いがバスケットボール以上の力を引き出し合う空間になると思う。勝ち負けも大事ですけど、バスケットボールの魅力をより大きく表現するためには、やっぱり応援してくれる方々の力が必要です。その上で自分たちが勝って、嬉しい気持ちを共有することが一番かなと思います」

ーーー岸本選手としてはどんなシーズンのエンディングを迎えたいですか。

 「結果だけを見れば、もちろん優勝することが一番です。優勝することでたくさんの人が報われますし、プレーに関わってなくても、会場にいてもいなくても、いろんな人にとって特別なものになると思います。プレー以外のところで言えば、みんなが持っている力は最終的に全部出し切るということですね。それは選手もそうですし、会場に来てくれる方もそうです。いろんな人が自分の力をキングスのために使う。それでシーズンが終われれば、一番ありがたいことですね」

(文・写真 長嶺真輝)

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