デモに参加しただけ、デモ支持を表明しただけで解雇される香港の現実—懲戒の基準[33]-(松沢呉一)
「暴力団員の子どもは入社させないのが正しいのか?—懲戒の基準[32]」の続きです。
香港在住RieさんのTwitter
「中国の不自由・日本の不自由—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 11]」を更新してすぐに知人が連絡をくれました。彼もまた香港からの中継に釘付けで、役に立つTwitterのアカウントをいくつか教えてくれ、そのひとつが香港で活動するタレントのRieさんのアカウントでした。
Twitterはほとんど見なくなっているのですが、以来、彼女のツイートは見逃さないようにしています。
ちょうどこのタイミングで、彼女のインタビューをまとめた記事がSPA!に掲載されました。これを読むと、香港の空気までが伝わってきます。
2019年8月27日付「日刊SPA!」
香港の行動はホントに幅が広くて、先日の日曜日は12歳の少年が逮捕されたように、中学生、高校生も多数参加しています。本日も中学生たちの記者会見が開かれてました(中継を観過ぎかと)。
一方、老人の姿もよく見かけます。全世代なのです。
労働組合も個人も連帯し、飲食店は抗議行動をする学生たちは無料にしたり、ドリンクを差し入れたりしています。
毎晩10時になると発せられる声
彼女のこのツイートに注目。
毎晩聴こえる22時の木霊作戦。
香港人!加油!
(ヒョンゴンヤン ガーヤウ)
光復香港!時代革命!
(グォンフォッヒョンゴン シドイガッミン)
五大訴求!缺一不可
(ンダーイソウカウ キュッヤッバッホウ)
覚えるとみんなも一緒に言えるよ!#香港 #hongkong #香港デモpic.twitter.com/fQBQ0ZUf2z— Rie(りえ)
(@japanavi) August 28, 2019
夜の10時だと、警察署への抗議など、どこかしらでまだ行動をしている人たちがいるのですが、働いている人たちはそうそうつきあってられないですから、奮闘している人たちに対するエールであるとともに、行動に参加はできなくても、意思表示だけはしておきたいってことでしょう。
ネットは当局が監視しているので、実名で下手なことは書けない。Rieさんは名前も顔も晒して嫌がらせを受けながらも、よくやっていると感心します。
しかし、高層ビルから声を出す分には特定されにくい。中国共産党支持者が隣にいたら安心はできないですけど。
Facebookは香港人については匿名を容認しているようで、多数の匿名の香港人たちが書き込みをしています。これに対して本土からの中国人がFacebookに抗議をしています。自分らのアカウントが削除されたのはダブルスタンダードだと。中国政府が背後にいるとされるアカウントが多数削除されていますから、その影響で政府の偽装アカウントだけじゃなく、デモを妨害する匿名アカウントも削除されているのでしょう。
これは抗議の方向が間違ってます。中国政府に「ネットの監視をやめろ。それによって弾圧するのをやめろ」と抗議すべきです。その防御のための匿名を容認しているだけですから、その原因を解消するのが先決です。そこを批判すれば匿名でも削除されないと思います。
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