松沢呉一のビバノン・ライフ

職場の設備・備品を私用で使うことの処分—懲戒の基準[7]-(松沢呉一)

このシリーズは「ネトウヨ春(夏)のBAN祭りからスピンアウトしたものなので、図版がない時は祭りの写真を使っています。

勤務中に仕事をサボって書いた小説の著作権—懲戒の基準[6]」の続きです。

 

 

会社のパソコンを私的に使用した場合

 

vivanon_sentenceどこの会社でもだいたい服務規程、就業規程の中に、設備や機器、備品の私的利用を禁じる項目はこれまでにもあったと思いますが、会社員のパソコンを私的利用することで、会社のパソコン全体がウィルスに感染したり、情報が盗み出されたりするトラブルが増えたことを受けて、より細かなパソコンの私的利用に関する規定を盛り込むようになってきていて、会社側がメール内容を見ていいとする規定が入っていることもあります。

ネットで見たどこかの会社の規定では、私的利用によるウィルス感染やデータの漏洩が起きた場合は、損害賠償を求める旨まで書いてありました。

また、社員が他の社員のメールを見ていいことにしている会社もあります。情報の共有ができるようにしておけば、他のスタッフの進捗状況がわかって無駄が減りますし、ミスのチェックもできます。その上、私用メールもしにくくなります。

今の時代は、個人用のパソコンやタブレットを持ち歩いている人も増えており、スマホでメールすることができ、ネットも見られますから、何も会社のパソコンを使う必要がなく、この方法がもっともいいんじゃなかろうか。

だからといって、1日数本の私的なメール程度で懲戒処分するのが適切とも思わないですけど、その内容が会社にとってあきらかに不利益をもたらすようなことが書かれていた場合に懲戒対象になることは当然かと思います。これも内容と程度によりけりですけど。

※例として、厚生労働省職員の服務規律より。「許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと」とあります。

 

 

社会運動をやっている人はとくに注意

 

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ヘイトデモへのカウンター参加者にこんな注意をしたこともありました。

「会社のパソコンを使って連絡をとったり、Twitterに書き込んだりするな。仕事中は、自分のスマホであってもSNSに書き込むな」

いかにも私が言いそうでありながら、はっきりとは覚えていなかったのですが、のちに「松沢さんにこういう注意をされたので、そのことを守ってます」と言っていた人がいます。

長く生きているだけあって、大変好ましい注意です。

これは対ネトウヨではなく、対会社用の注意です。会社のパソコンを個人使用していると、ついつい書いてはいけないことまで書いてしまいがち。その時はよくても、あとで会社に目をつけられた際に、そういうことがほじくりかえされます。

SNSは投稿の時間が記録されてしまうので、私物のスマホで書き込んでも、勤務時間だとわかってしまいます。これも程度次第ですけど、頻繁になると怠業の証拠です。この場合は公開されていますから、会社が書き込みを問題にしたところで、前回見たようなプライバシーにもひっかかりません。

社会運動をやっている人たちだけでなく、何かの拍子で会社と敵対するようなことがあったら、そこを突かれて解雇されかねないですから、どんな人でも注意しておいた方がいいと思います。

 

 

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