マスクさえしない介護施設職員と目からの感染を示唆する報告書—マスクよりもフェイスシールド[24]-(松沢呉一)
「マスクを義務化したフランスでは感染者数が1日1万人近くに—マスクよりもフェイスシールド[23]」の続きです。
浜松の介護施設クラスターの実態調査
私ごときがいくら言っても世の中変わるわけじゃなく、「マスクさえしていればいいと信じて疑わない人」「夜の街が諸悪の根源だと思い込んでいる人」「ワイドショーを鵜呑みにするだけの人」に届くわけもないので、すっかり「ポストコロナのプロテスト」シリーズに絞って情報をチェックするようになっており、介護施設での感染も追わなくなっていたのですけど、それでも目に入ってきます。死にやすい層の対策がいまなおできていないってことです。
とくにこの記事に注目です。
2020年11月8日付「中日新聞」
こういう記事を待ってました。中日新聞が素晴らしいというより、浜松市が素晴らしい。災害派遣医療チームの医師らによる立ち入り調査をして、クラスター発生の原因究明に当たっています。
その結果、マスクを外して入居者の介護をしている職員がいたと。
なぜ今までこういった報告が出てこなかったのか
静岡新聞には職員がマスクを外していた理由も書かれています。
施設関係者によると、マスクを外した背景にはマスクを怖がる入所者がいたり、耳が遠い入所者にはマスク越しの声が聞き取りにくかったりするなどの事情があった。
「マスクを怖がる入所者」はおそらく自分でもマスクはしていない。そりゃ感染するでしょ。
私は私の見聞で、病院と違って介護施設ではいまなお手製マスクや市販の安いマスクでいいことになっていて、フェイスシールドを併用している施設は一部でしかなく、利用者のためにフェイスシールドを用意している施設も一部でしかないと書いてきました。
マスクは苦しい人たちもいるので、フェイスシールドくらい用意しておけって話だと思うのですよ。安いものなのだし、アルコールで拭けば再利用可能なんだから。
その段階で改善点ありってことだと思うのですが、マスク至上主義がフェイスシールドの導入を阻んでいて、そのマスクも外している。これは浜松の施設だけではなく、今までクラスターを出してきた施設も似たようなものだと思います。
こういう報告が今まで出ていない事情もこの記事から推測ができます。行政は手一杯で、そこまでやってられない。実際、やらなければならないことが多すぎて、人員が足りないでしょう。
バラバラに地方公共団体がやるよりも、厚労省がいくつかのサンプルを選んで徹底調査をして原因を探し出し、全国の施設に対策を講ずるべく指導するのが理想だと思います。
※2020年11月10日付「静岡新聞」
(残り 1482文字/全文: 2653文字)
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