松沢呉一のビバノン・ライフ

7時間フェイスシールドをつけてみた日(上)—マスクよりもフェイスシールド[19]-(松沢呉一)

メガネ型フェイスシールドを販売している梶原の中村屋へ—マスクよりもフェイスシールド[18]」の続きです。

 

 

なぜフェイスシールドをプッシュするか

 

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通してすべて読んでいる人は少ないでしょうから、改めて私の立場を説明しておきます。

私がフェイスシールドをプッシュしているのは、マスクさえしていればいいと信じる人たちがあまりに多いからです。それぞれの判断ですから好きにすればいいのですが、マスクをつける必要がない場面でもマスクをつけさせようとする人々がいるらしきことと「人に感染させないためにマスクをしている」と見え透いたウソを言うのがいるから腹が立ちます。

もし本当に利他的な動機であるならば「唇が読めないので困る」と言っている聾唖の人たちの声にも耳を傾けて、口が見えるフェイスシールドかマウスシールドをつけていいはず。

実際にはただ単に周りに合わせているだけなのは同志社大の調査でも明らかです。自分の判断ができない上に、カッコつけた嘘をつくって最悪でしょう。

相も変わらず介護施設での感染が止まらず、おそらくそういう施設でも「マスクをしていればいい」という思い込みが支配しているのだろうと想像できます。

都内を歩き回っていて、クリニックや老人ホーム、通所施設があると気になって覗いてます(あくまで外からです)。クリニックや歯科医では受付でもフェイスシールドをしていることが多々ありますが、介護施設では一度もフェイスシールドを使用しているのを見たことがありません。外から見えない介護の現場では導入している施設もあろうかと思いますが、一部でしょう。

であるならば、周りに合わせることしかできず、「目からの感染がありえる以上、マスクだけでは不充分」と気づくこともできない人たちのために、少しでもフェイスシールドが日常化して、合わせる「周り」の選択肢を増やした方がいい。

「職員は医療用マスクとフェイスシールドをし、利用者はフェイスシールドをする」という選択もできるようになった方がいいじゃないですか。そんくらい介護施設の経営者や職員が自分らで考えろってことなのですが、自分の頭で考えて判断するってことができない人たちがいるのです。

病院対策、老人対策さえ万全にすれば、あとはほとんど死なない病気ですから、適当でいい。なのに、いつまでも介護施設での感染が続いていることが腹立たしい。夜の街クラスターばかり注目して、死者が出る可能性が高い介護施設については注目しないメディアや国民も腹立たしい。

※2020年8月31日付「東海テレビ」より

 

 

フェイスシールドの難点

 

vivanon_sentenceその点、早くからフェイスシールドを導入している警視庁は感心です。実際に警官が着用しているのを見たことがないのは、警官個人の判断に任せているためで、屋外での業務も多く、夏場にマスクとフェイスシールドのどちらも着用するのは危険ですから、その辺は臨機応変に。

その点、室内業務が中心の介護施設ではフェイスシールドを着用することになんの問題もないでしょう。

さっき観たTBSのニュースでは、南アフリカから護送された殺人事件の容疑者も警視庁の捜査員も、フェイスシールドをしてました。

 

 

2020年9月4日付「TBSニュース」より

 

SanDiegoのTシャツが容疑者。右側の捜査員のフェイスシールドをよく見てください。端っこが波打ってますね。暑いですから、直前まで外してバッグの中に入れていたことが推測できます。

これがフェイスシールドの難点です。

 

 

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