「私っていくつだと思います?」と「私ってどこの国から来たと思います?」[上]—サイレント・エピデミック[第一部付録編 1]-(松沢呉一)
「サイレント・エピデミック」シリーズに関係しているのですが、入れ込みにくい内容なので、付録編としました。
コンビニ店員の意外な反応
このところ、外国人留学生の話が何度か出てきましたが、メシ屋はともかく、コンビニで外国人店員と長話をすることはまずありません。挨拶代わりに、二言三言交わすだけです。深夜でも彼らは商品の補充などの仕事がありますし、どんな時間帯でも客が少しは来ますから、暇を持て余しているわけではないためです。
稀にあちらも話したがっていることがわかって、長くなることがありますが、あっちがこっちのことを知りたがるなんてことはなくて、話したがっている時は眠い時だったりします。眠気覚ましの会話です。
まして客が多い時間帯に用もないのに話しかけることはほぼないのですが、コピー用紙が切れているとか、代金支払いの操作がわからないとかで話しかけたついでに「この店ではいつからバイトしているの?」なんて話し出して長くなることがあります。早い時間帯だと、長いと言っても1分か2分です。
そういう事情があったわけでもないのに、3日ほど前、比較的早い時間帯に話しかけてしまいました。
時々行くコンビニに新顔の女子従業員がいました。夜8時くらいだったかな。
タバコやパンを買って、彼女がレジを打っている時に、太い眉が気になりました。もともと太いだけでなく、太く描いているようで、「どこから来たの?」と聞きました。「おかしい」とか「似合ってない」というわけではないのですが、その国の風習とか流行なのかと思いまして。スペイン男性のヒゲみたいなものです。
※そのコンビニで買ったのではなく、輸入雑貨店で買ったバレンシアマンゴーのネクター。最近バレンシアには目がないものですから。本文に関係ないですが、よその国から来たってことで。「このバレンシアマンゴー・ネクター、どこ産だと思います?」 答えは↓
その返しはやめろ
そしたら彼女が意外な反応を示しました。
「どこだと思います?」
後ろに客が待っているのに、この返しはやめろ。後ろに客が待っているのに、こんな質問をした私が悪いのですが、すぐに答えてくれれば、彼女はレジを打って、私は金を渡し、釣りをもらう間にやりとりは終わって、なんら時間は無駄にならない質疑応答です。
深夜だったら、1分で眉まで話を持って行くかもしれないですが、今日のところは国がわかれば満足です。
「全然わからないよ」
「ネパールです」
またもネパール人です。
「ネパールの人は多いね」
後ろに人が待っていましたから、それだけ言って帰ってきたのですが、彼女の目は楽しそうでした。
※飲み出してから気づいたのですが、原産地はモロッコ。バレンシアマンゴーは品種名でした。
(残り 1139文字/全文: 2297文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ