ポストコロナのプロテストはこれで終了—ポストコロナのプロテスト[151](最終回)-(松沢呉一)
「カタルーニャとバレンシアの音楽群[20](最終回)—ポストコロナのプロテスト[150]」の続きです。
「カタルーニャとバレンシアの音楽群」終了について
まさか「カタルーニャとバレンシアの音楽群」がこんなに長くなるとは思ってませんでした。バルトニクやパブロ・ハーゼル支援の曲「Los Borbones son unos Ladrones」に参加ミュージシャン+αで10組くらい取り上げて終わりかなと思っていたのですが、出てくるわ出てくるわ。
しかも、どれも面白い。とくにブーオス、エブリ・ナイト、トゥリバーデ、ソンブラ・アロー、クララ・ペーヤ、ドクトル・プラッツ、ZOO、ラ・ライーズ、チャランゴ、KOP、シャビ・サリア、スモーキング・ソウルズ、ライオット・プロパガンダ、ラ・フーミガ、ジェンマ・ウメットが気に入りました。いっぱいいるな。
今回知ったこれらのミュージシャンたちについては今後も聴き続けることになるでしょう。
実際、その後公開されている新しい曲は一通りチェックしています。
ブーオスの新譜。
プロテスト色はないです。
楽しさと困難と
たまたま今回はパブロ・ハーゼル投獄のプロテストがバルセロナなどで盛り上がっていたことのからみでここに突入していったわけですけど、パスカル・コムラード以外、存在をまったく知らずにいて、いくつものバンドが来日していたことも知らずにいました。
チャルガやエチオピアのポップスもそうでしたけど、YouTubeだけを頼りに(取り上げる際はいろんなものを調べてますが)、ただひたすら知らなかったものを探っていくのは本当に楽しい。誰の指図でもなく、権威ある評論家やメディアに盲従するわけでもなく、レコード会社の宣伝に乗せられるのでもなく、ブームとも無関係に自分の好きなものを自分で見つけ出す楽しさ。
楽しいだけでなく、カタルーニャやバレンシアの立ち位置について知る契機にもなりましたし、スペイン内ナショナリズムやアナキズム、槌鎌について考察する契機にもなりました。
その上、このシリーズは「ポストコロナのプロテスト」としては珍しくアクセスが多い。つっても「ポストコロナのプロテスト」のこれまでがひどかっただけ、同時期にやっていた「サイレント・エピデミック」シリーズと「男の名前・女の名前」シリーズがひどかっただけですけど、それらよりはマシだったのはバンド名で検索している人が来ているためだと思います。
この流れで、各国のポップス、ロック、ヒップホップで、プロテストがどうなされているのか、プロテストがどう評価されているのかを手繰っていくのもいいかと思ったのですが、スペインは規制が強まっているとは言え、それでもまだ表現することが可能であり、ミュージシャンの表現も躊躇や飾りが少ない。
これが中国となると、政府批判もできやしない。結局、取り上げられるのは表現の自由度が高い国が中心になってしまい、もっとも知りたい最悪の国家の内情はこの方法では知ることができません。
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