松沢呉一のビバノン・ライフ

来日したウクライナ人たちをこの先どう取り上げればいいのか—関心が薄れないために必要なこと-(松沢呉一)

 

 

ロシアのウクライナ侵攻から3ヶ月

 

vivanon_sentence前回書いた新宿駅東口広場での試合には、マスコミも多数来てました。AV新法に賛成する人たちと、それを批判する人たち、批判する人たちの差別性を糾弾する人たちが入り乱れていて、マスコミ的にも注目せざるを得ないでしょう。

その中には知人も複数いまして、もともとの知り合いについては、どっちもフラットに取材しつつ、心情的にはカウンター側に近いスタンスです。私に近い。しかし、社内でも意見が割れるので、そのスタンスをそのまま出すのは難しい。いつものことです。

また、私に近いと言いつつ、私の今現在の興味は圧倒的にウクライナ戦争であって、新宿にいても気持ちはウクライナです。

ウクライナ経由で、日本のマスコミに対して気になっていることがあります。ウクライナから避難してきた人たちをこれからどう取り上げるのか。関心が薄くなっている中、どう関心を維持するか。

ここまではそんなに悩まなくてよかったと思うんですよ。ともあれ、日本に着いて親族と再会して泣きながら抱き合っているシーンだけでお茶の人たちもロシアの非道さに怒り、ウクライナの人たちとともに泣きました。ローカル局も、「当県の受け入れはこれが初めてです」とやっておけば事足りました。

その後はまさに「彼らのその後」を取り上げればいい。日本語を覚えるのに苦労している様子や、花見に出かけて、「日本の人たちと一緒に花見ができて嬉しいです。でも、ウクライナのことを考えると…」と涙ぐむ映像があればOK。

4月は入学シーズンでもありますから、入園・入学の様子を取り上げるのが定番でした。

以下は幼稚園から大学までのまとめ。

 

 

入園・入学ものとしては、冒頭に出てくるミアちゃんが秀逸でした。きっともう楽しい幼稚園生活を送っていることでしょう。

 

 

1000人突破

 

vivanon_sentenceここまではその延長で済んでいたと思うんですよ。仕事が見つかった人たちもボチボチ出てきますし、ウクライナ料理をキッチンカーで提供したいとか、ウクライナ料理をイベントで提供したといった話題もよかったと思います。子どもを動物園や水族館に連れていったという報道では私までウキウキしました。

でも、そろそろきつくなってきます。ポーランドは限界で、ケアが十分にはできないため、今なお新規で来日する人たちもいますが、もう空港で抱き合うカットだけでは新鮮さがない。

新規の人たちは同じ自治体に重ねて来ているケースがほとんどだと思います。先行して来ている人たちがガイド役を果たしてくれるので、とくに身寄りのない人たちはその方が安心です。日本に来て落ち着いた人が、親族を呼んでいるケースもあります。同じ自治体だと、「☓☓市に来るのはこれが初」ということにはならない。

 

 

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