松沢呉一のビバノン・ライフ

この戦争は移民・難民について考える絶好の機会—ドン・キホーテを褒め称える-(松沢呉一)

加速するロシアの言論統制にナワルニー提唱のデモは対抗できるか—フェイク国家のフェイク情報のみが「事実」になったロシア」の続きです。

 

 

銭湯で会ったイラン人と難民の話をした

 

vivanon_sentence銭湯で働くようになって以来、清掃の日はその銭湯に入ることが多いのですが、性格的にどうしてもいろんなところに行きたくなります。

先週、2ヶ月に1回程度行っている銭湯でイラン人と知り合いました。40代、あるいは50代か。

「昔はよく上野公園で偽造テレカやマリファナを売っていたけど、最近はイラン人は少ないですよね」

「それは30年くらい前ですね。そういうのはみんな捕まって強制送還されて、今はイラン人は少ないです。コロナでイランに帰ったままの人が多くて、さらに少なくなっていて、今は4千人くらいしか日本にいない」

それでもロシア人よりは多い。

イランには難民が多く流れ込んでいて、アフガニスタンからの難民だけで100万人以上ですってよ。

「私の周りは難民ばっかりですよ」

これは母国での話だと思いますが、難民としてイランにいても厄介者扱いされるし、いい仕事がないので、さらに別の国に出た方がいいと考えるのもいそうで、日本での話のなのかな。日本語が堪能なので、複雑な内容でも理解してくれそうなのですが、ここは詳しく聞きませんでした。

彼も言ってましたが、難民は受け入れるしかない状況がありつつ、受け入れたら受け入れたで問題が生じるので、簡単ではない。同じイスラムであっても宗派違いがあったりしましょう。

「日本は受け入れる姿勢ができていないので、受け入れたくても難しいと思うんですよね」

「日本はそれでいいんじゃないですか」

彼は毎日この銭湯に来ているそうで、そういえば前にも見かけたことがあったかもしれない。またきっと会うことがあるでしょう。

※「レッツエンジョイ東京」掲載「トルコ料理がほぼ食べ放題」 銭湯で「イラン料理店は東京にある?」と聞いたら、「日暮里にある」と教えてくれました(他にもあります)。「どれどれ」と家に帰って検索してみたら、「ザクロ」という店があります。あー、あそこか。JR日暮里駅方面から階段を降りて谷中銀座商店街に入ってすぐのところにある店です。谷中は台東区ですが、谷中銀座は荒川区西日暮里にまたがっていて、「ザクロ」は西日暮里エリア。この写真の通り、すっごい気になる店構えで、店内も外から見えるのですが、一人だと楽しくなさそうなので、まだ入ったことはなく、入口で売っているジュース(それこそザクロジュースだったり)やお菓子(パウンドケーキだったり)を買ったことが何度かあります。4、5回は買っていて、だったら入ればいいのですが、こういう記事を読んでいたからこそ、一人では入りにくかったのです。この記事のタイトルはトルコ料理となっていて、私も今まで国を意識しておらず、「中東方面の料理店」といった曖昧な認識でしたが、日本一うざい店主(笑)はイラン人で、「トルコ・イラン・ウズベキスタン料理」の店です。それぞれの料理は近いのですが、味付けが違い、イラン料理はちょっと甘いそうです(銭湯で会ったイラン人情報)。

 

 

ウクライナ人を受け入れる人々に感動するが、これからが大変

 

vivanon_sentence今回、ウクライナから脱出した人々はすでに120万人以上。最終的には400万人に達するとも言われています。

ウクライナから逃げてきた人の姿も泣けますが、私はウクライナ難民を受け入れるポーランドの人たちを見ると涙が出てきます。

 

 

この報道はいろんな情報がいっぱい詰まってます。EU加盟申請が相次いでいることとスイスと北欧が中立の立場をついに崩した点が衝撃です。そのくらい強烈なインパクトをヨーロッパに与えてます。

ウクライナから逃げてきた人たちの姿は他人ごとではなく、とくにポーランドやチェコの人たちにとってはナチスの時代、あるいはソ連の時代と重なりましょうし、プーチンはウクライナを制圧したら次はポーランドやチェコを侵略しますから、明日は我が身です。

ウクライナ人を迎えて、プラカードを出している人たちの中には、知り合いと待合せしている人もいるでしょうが、家や車の提供を申し出ている人たちです(画面に見えるのはだいたい車だと思います。グダニスク等の地名が書かれています)。

ポーランドのいい面。ポーランドの悪い面についてはいままでさんざん取り上げてきたので、参照してください(例:ドゥダ・ポーランド大統領のホモフォビアとLGBTプロテスト—ポストコロナのプロテスト[9]」)。

 

 

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